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メッセンジャー
寺山いくこ 美容プロデューサー mon age編集長
アンチエイジングにつながるいろいろなコト
カルチャー
日本の食文化は 健康につながっています 〜土用の丑の日(この夏は2回あります)〜

2005年の昨年から、10月1日は「食物せんいの日」だそうである。巷でもキャンペーンが展開されるとのこと。そこで、今回のカルチャーでは、食物繊維をフィーチャーしてみたい。
そもそも日本人は農耕民族であるからして、当然、食文化の面でも穀物を中心に芋類、豆類、野菜の中でも根菜類や海草、また季節の果物といった、いわゆる食物繊維の豊富な食べ物を当たり前のように調理して当たり前のように食していた。だから食物繊維は普段の食生活からふんだんに取り入れられ、無意識のうちにその恩恵にあずかっていたともいえる。だから農耕民族の歴史をしっかりと内臓にも刻んでおり、比較的、腸が長い。それが次第に食生活の変化により、日本人の食物繊維摂取量が危うい状況になり、このままでは便秘だけではすまされない、深刻な病気にもつながりやすい暗い未来を向かえそうだという。今盛んにもてはやされているマクロビやヘルシー食といわれるものは、多分にして少し昔までの日本の伝統食であったように思う。なのに、である。お膝元の日本の食文化状況を食物繊維から追ってみる。

食生活の変化が大きな分かれ目だった

かつての日本人の食生活。ご飯にお味噌汁を基本に煮物やおひたし、魚介類や海藻、お漬物・・・。こんな献立を真っ先に想像できない現代。ましてや毎日摂っている人はどれくらいいるだろうか?温泉に旅したときの旅館の朝ごはんくらいなのではないかと思ってしまうのは私だけだろうか。戦後の高度成長期とともに食の欧米化が進み、お肉や卵、乳製品などが大幅に摂取されるようになり、このような献立から日本人は遠ざかっていく。たんぱく質が豊富な食べ物を連想する際に、植物性の良質なたんぱく質である豆類ではなくお肉を、カルシウムだったら小魚ではなく牛乳や乳製品・・・と変化していくのである。スイーツだってそうだ。小豆たっぷりのぜんざいや栗きんとんに芋ようかん・・・もはやどこか懐かしささえ感じるかもしれない。真っ赤なイチゴののったショートケーキにアップルパイ、クッキーやチョコレート・・・。それらに伴い、脂やバターの摂取も当然増加、農耕民族の食文化は、徐々に狩猟民族の食生活に変貌していく。日本の食文化に深く関わっていた食物繊維。摂取量の変化は数字から見ても明らか。戦後は食糧難だったとはいえ1日あたりの食物繊維摂取量は1947年(昭和22年)27g、1955年(昭和30年)22g、1985年(昭和60年)17g、現在は15g程度まで減少傾向にあるといわれている。ある調査によると60歳以上でも平均11g、若年成人で約8g!この間、摂取量が減った食品は、お米、大麦、サツマイモ。根菜類や豆類、海草などもそうである。食物繊維が豊富だった日本の伝統食(とあえて言っておく)のなかに食物繊維がふんだんに取り入れられていたのは今や周知の事実だが、最近では、お味噌汁が食卓にのぼらない家庭も多いと聞く。何と嘆かわしい事か。

ほんの30年ほど前までは無用の長物?!

そんな中で食物繊維はまったくといっていいほど注目されなかった。今でこそ美容や健康に欠かせないものとして知られるが、それまでは栄養価が低いため栄養としての期待はあまりできないし、消化・吸収が悪いので小腸からの栄養補給を妨げるものだからエネルギーとしても利用できない、と軽視され、忘れ去られるところであったのだ。警告はまたしても海外からで、イギリスのバーキット博士が1970年代に、大腸がんや糖尿病、肥満、心臓病等の病気は食物繊維不足から起こるのではないか、と発表したのである。

便でわかる摂取量の違い

食物繊維とは、つまりは消化されないもの。消化されないものを多く食べるということは、どういうことか?特に農耕民族である我々は腸が長いので、不必要なものが腸に滞ることはあまりよろしくないわけで、食物繊維を多く摂ることで適度な水分に富んだ便が大量にできる。太くて柔らかく、水に浮いて、ニオイもうすい便が理想的。約1日かけて余分な糖やコレステロール、発がん物質などを吸収しながら体外への排出を促す。万能ではないだろうが、メタボリックシンドローム予防には理想的な役割を果たすだろう。逆に硬くてコロコロした便は、エスキモーなど肉食中心の民族に多い便である。欧米型の食生活になればこちらの傾向が強くなり、排出にも3日前後の日数が必要に。ちなみに便つながりでいうとデトックス(解毒)効果から見ても、食べ物から出た老廃物や有害ミネラル、ガスなどは75%が便から排出されるので(ちなみに尿から20%、汗からは3%、毛髪から1%、爪から1%)その重要性は計り知れないものがあるのではないだろうか。

1日に必要な摂取量と食品

ではどんなものをどれだけ摂ればよいのか?ごぼうやセロリのように筋があるものが想像しやすいけれど、水溶性・不溶性(*1)の種類もあり、働きもいろいろあるようだ。また食物繊維の所要量は、実はまだ決定されていない。年齢や摂取する食物繊維の種類、他の食物とのバランスなどもあるが、日本人の目標摂取量は1日あたり20〜25g、カロリーだと1000kcalあたり10gというところ。100g中、食物繊維の多く含まれる食物はキクラゲ、干したヒジキや椎茸、乾燥したかんぴょうや切り干し大根などだが、食べられる量にも限界があるので、日常の食生活で食べる常用量から見ると、納豆・おから・甘栗・インゲン豆・とうもろこしなどがあがってくる。豆類は食物繊維の宝庫といえるだろう。また芋・でんぷん類だと、シラタキ、サツマイモ、果物だと干しブドウ、バナナ、キウィフルーツ、りんごなど。野菜では人参、オクラ、ほうれん草などとなっている。

「第六の栄養素」で食生活を見直して!

食物繊維の豊富な食品は自然とそしゃく回数が増え、唾液の分泌も盛んになる。さらにゆっくりと食べることで早食いを防ぎやすく、加えて「かさ効果」があるので満腹感も得られやすい。五大栄養素(たんぱく質・脂質・糖質・ビタミン・ミネラル)に続く「第六の栄養素」として重要視したいもの。最近は、手軽に食物繊維が摂れる栄養補助食品やサプリメントなども登場しているので、そればかり食べるとか摂りすぎには注意が必要だが、上手に食物繊維を取り入れて、体内はもちろん、肌や髪のためにもバランスのよい、自分なりに工夫した食生活を心がけてはいかがだろうか。

1. 豆製品を取り入れる
2. 精白した穀類から玄米や発芽精米などに変えてみる
3. 全粒粉小麦や小麦ふすまを使用したシリアルも手軽
4. 根菜類や海草などを積極的に摂る
5. 果物を食べる

(*1)

水溶性食物繊維 SDF(water-soluble dietary fiber):
植物の細胞の中に貯蔵されたり、植物が分泌する成分に含まれる。糖がたくさん繋がった構造で水に溶ける性質を持つ。粘性があり、IDFよりもさらに水を吸収して膨らむ上、保水力が高いので、さらに強い効果を発揮するのが特徴。また胃内滞留時間が長く、糖分の吸収速度を緩やかにして、食後の血糖値が急激に上昇しないように抑える。体内コレステロール濃度の正常化をもたらす作用があり、大腸内で微生物が分解する。IDFよりも多く摂る事が望ましいとされている。

不溶性食物繊維 IDF(water-insoluble dietary fiber):
植物の細胞壁を作っている成分、たくさんの糖が繋がった構造だが、水に溶けない性質。水分を吸収して保持、腸内の有害物質を体外に排出する働きがあり、便を柔らかくして容量を増し排便を促進する。消化管を通過する時間を短くする。便秘の予防や改善に役立つ。

ファイバーアカデミア(http://fiberacademia.jp/)

「ファイバーアカデミア」とは
便秘解消にとどまらない、食物繊維の新しい可能性、とくに腸(お腹)をキレイにすることの意味と効果を広く社会に伝えていくという目的で、栄養学、医学(消化器内科)領域の研究者や、食物繊維を臨床の現場で取り入れている医師を中心に設立されました。

 

 


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