食生活の変化が大きな分かれ目だった
かつての日本人の食生活。ご飯にお味噌汁を基本に煮物やおひたし、魚介類や海藻、お漬物・・・。こんな献立を真っ先に想像できない現代。ましてや毎日摂っている人はどれくらいいるだろうか?温泉に旅したときの旅館の朝ごはんくらいなのではないかと思ってしまうのは私だけだろうか。戦後の高度成長期とともに食の欧米化が進み、お肉や卵、乳製品などが大幅に摂取されるようになり、このような献立から日本人は遠ざかっていく。たんぱく質が豊富な食べ物を連想する際に、植物性の良質なたんぱく質である豆類ではなくお肉を、カルシウムだったら小魚ではなく牛乳や乳製品・・・と変化していくのである。スイーツだってそうだ。小豆たっぷりのぜんざいや栗きんとんに芋ようかん・・・もはやどこか懐かしささえ感じるかもしれない。真っ赤なイチゴののったショートケーキにアップルパイ、クッキーやチョコレート・・・。それらに伴い、脂やバターの摂取も当然増加、農耕民族の食文化は、徐々に狩猟民族の食生活に変貌していく。日本の食文化に深く関わっていた食物繊維。摂取量の変化は数字から見ても明らか。戦後は食糧難だったとはいえ1日あたりの食物繊維摂取量は1947年(昭和22年)27g、1955年(昭和30年)22g、1985年(昭和60年)17g、現在は15g程度まで減少傾向にあるといわれている。ある調査によると60歳以上でも平均11g、若年成人で約8g!この間、摂取量が減った食品は、お米、大麦、サツマイモ。根菜類や豆類、海草などもそうである。食物繊維が豊富だった日本の伝統食(とあえて言っておく)のなかに食物繊維がふんだんに取り入れられていたのは今や周知の事実だが、最近では、お味噌汁が食卓にのぼらない家庭も多いと聞く。何と嘆かわしい事か。 |