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執筆者:モンナージュ編集部
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丑年のはじめに学ぶ、牛のあれこれ
丑年のはじめに学ぶ、牛のあれこれ
 
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丑についての基本情報

 ご存知のように、十二支は「子、丑、寅、卯、辰、巳、午、未、申、酉、戌、亥」から成っており、丑はその2番目です。
 牛は古代から「聖獣」として、信仰・崇拝の対象とされてきました。バビロニアの女神イシュタルや古代エジプトのハトホル神は、牝牛で表現されることがあります。ギリシャ神話では、大神ゼウスが白い牡牛になり、フェニキア王の娘エウローペを背に乗せてクレタ島に渡ったといわれています。ちなみにヨーロッパは、エウローペが連れて来られた大陸ということで、彼女の名にちなんで名付けられました。
 仏教では「聖白牛」として、また学問の神様として有名な天神様(菅原道真公)では神の使いとして、牛が崇拝されています。
 方位で言うと、子を北として時計回りに方位を12等分するため、丑は北北東です。これは「表鬼門」に当ります。時間帯としては、午前1時から3時の真夜中を指しており、「草木も眠る丑三つ時」という言葉は有名ですよね。これは、丑一つが午前1時〜1時半、丑二つが1時半〜2時、丑三つが2時〜2時半……というように、丑の刻を30分ずつ4つに分けた3番目だから「丑三つ時」というのです。
 丑年生まれの人の性格は、気が長くて辛抱強く、目的に向かって歩み続ける根性があるそうです。反面、闘牛のような強さも併せ持っているとか。そのため、学問を究めることや、芸術や物作りなどに力を発揮するといわれています。

丑年のはじめに学ぶ、牛のあれこれ
 
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なぜ丑は十二支のうち2番目なの?

 十二支のうち、「丑」は「子」に次いで2番目に位置していますよね。これは何故なのでしょう?
 昔、神様が十二支獣を決める日があり、多くの動物たちがその日に行くことにしていました。真面目で足がのろい牛は、「遅刻をしてはいけない」と、1日早く集合場所に行くことにしました。しかし「これは抜け駆けではないかしら」と、親しいネズミに相談したところ、「気にすることはないよ」との答え。そこで牛は1日早く集合場所に行きましたが、一番乗りを狙っていたネズミは、牛から相談を受けるやいなや、先回りして一番に来ていたのです。それで、ネズミが一番、牛が二番になったとのこと。牛の背中に乗っていたネズミが飛び降りたから一番になった、という説もあるようですが、いずれも十二支に動物が割り振られた後に作られた寓話のようです。

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十二支の「守り本尊」

 十二支にはそれぞれ「守り本尊」がいますが、丑の守り本尊は「虚空蔵菩薩」とのこと。虚空蔵菩薩とは、広大な宇宙のような無限の智恵と慈悲を持った菩薩で、知恵や知識、記憶といった御利益を司るそうです。
 ちなみに、十二支の守り本尊は次の通りです。皆さんの干支の守り本尊は、どなたでしょうか?

子…… 千手観音菩薩(数限りない人々の苦悩をすべてすくい救いとり、願い事を叶える)
丑、寅…… 虚空蔵菩薩(虚空のように無限の知恵や功徳をもつ仏)
卯…… 文殊菩薩(知恵を象徴しており、普賢菩薩と共に釈迦の脇侍としてまつられている)
辰、巳…… 普賢菩薩(人生の師として最高の境地に達した理想像といわれている)
午…… 勢至菩薩(知恵の光をもって人々を救う仏)
未、申…… 大日如来(宇宙そのもの。諸物の王者として君臨し、如来ながら菩薩の形をとる)
酉…… 不動明王(如来が教化しにくい衆生を救うために、恐ろしい形相をした姿で現れる)
戌、亥…… 阿弥陀如来(いつでも、どこでも、我々を救おうとしている仏)
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なぜ丑の刻にお参りをするの?

 ドラマや小説などで、時々「丑の刻参り」を見かけることがあります。 これは、丑の刻(午前2時頃)に神社や仏寺に7日間参詣して、恨む相手の死を祈願し、藁人形に釘を打ち込んで相手を呪い殺そうとするものです。あな恐ろしや!
 なぜ丑の刻なのかについては、皆寝ていて人が見ないから、方角が鬼門に近いので人が寄りつかないから、などの説があるそう。いずれにしても、願い事は「密なるがよし」ということのようです。
 長野県松本近辺の山中に「牛伏寺」(ごふくじ)というお寺があり、毎年厄年の男女が、深夜に山道を登って厄除けの願をかける風習が続いているそうです。このお寺の名前は、天平勝宝七年(756年)に、唐の玄宗皇帝が善光寺へ大般若経六百巻を納経する途中、経巻を積んだ赤・黒の二頭の牛が、この地で同時に倒れたことに由来するんですって。

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なぜ土用の丑の日にはうなぎを食べるの?

 「丑」という字を見て、土用の丑を思い出す方も多いはず。土用の丑といえば、うなぎ。暑い夏を乗り切るスタミナをつけるために、うなぎを食べるとされていますが、そもそもの起源はなんでしょう?
 夏の土用の丑の日にうなぎを食べる風習は、江戸時代からだとか。諸説ありますが、エレキテルで有名な平賀源内が発案者のようです。商売がうまくいかないうなぎ屋に相談を受けた源内が、「丑の日に『う』の字がつく物を食べると夏負けしない」という民間伝承にヒントを得て、「本日丑の日」と書いて店先に貼ることを勧めたとか。するとそのウナギ屋は「源内の言うことなら」と大繁盛して、他のウナギ屋もまねたため、この習慣が定着したそうです。

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牛に関することわざあれこれ

 牛は昔から農耕生活に欠かせない存在で、人間にとって親しみのある動物であるため、牛を使ったことわざもたくさん見受けられます。みなさんは、いくつご存知でしょうか?

牛耳を執る
 団体の首領になることを意味します。中国の春秋戦国時代に、呉王の夫差と晋王の定公が「自分が覇者だ」と争って、牛の耳を裂いてその血をすする順序を争ったという故事から来ているそうです。

寝て食えば牛になる
 牛が寝ることに関することわざはいくつかあり、「食ってすぐ寝ると牛になる」ということわざもあります。これは、牛が反芻動物で、食後ゆっくり休んで食べ直す習性があることから来たようです。

牛の糞の一日干
 牛の糞は、1日くらい干しても表面だけしか乾かないことから、「外見は硬そうに見えるが、その中身は分からない」ということわざです。人は外見だけで判断してはいけない、ということのようですね。

牛の歩み
 牛はゆっくり歩くため、ゆうゆうとして焦らないことをいいます。よく国会の議決がテレビで放送される時に「牛歩戦術」を見ることがありますよね。これは反対派が時間をかせぐための手段なのです。

牛根性
 牛は普段はおとなしい動物ですが、強情なことでは他の動物にひけをとりません。そこから、強情な人のことを牛根性というようになりました。


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すき焼きは昔、鍬の上で焼いていたの?

 今や「Sukiyaki」として海外でも人気の和食、すき焼き。すき焼きは、鍬焼、数寄焼、寿喜焼など、色々な漢字が当てられます。今でこそ鍋で煮込みますが、すき焼きというからには、昔は「鍬(すき)」で焼いていたということ??
 すき焼きの起源は意外と古く、天保年間(1830〜1843年)の『料理談合集』という書物に「雁、鴨、カモシカの類を溜(たまり)に浸け置き、古く使いたる唐鋤を火の上に焼き、柚子の輪切りを後先に置きて、鋤の上に右の肉類を置くなり、色変わる程に食して良し」という記述があるそうです。最初はやはり牛肉ではなく、雁や鴨、カモシカなどを焼いていたのですね。その後、すき焼きは野菜も入れて煮る料理法に変わっていったようです。

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こんなにある!牛の使いみち

 昔から牛は、人間の生活と切っても切り離せない動物です。牛は食べたり、牛乳を飲んだり、皮を靴にしたりと、捨てるところがほとんどありません。どんなことに使われているのか、改めてみてみましょう。

肉…… 牛肉には1級から4級まで等級があり、1級にはヒレ肉、ロースなどがあります。ユッケやたたきのように生肉でも食べるほか、ソーセージや缶詰などに加工されています。
乳…… 牛乳、生クリーム、粉ミルク、チーズ、バターなど
皮…… 靴、ベルト、皮ジャン、バッグなど
油…… 石けん、食用油など
角、蹄…… 傘の柄、つえ、パイプなど
内臓…… 薬、肥料など
血…… 血粉は飼料、肥料
糞尿…… 肥料
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丑年生まれの有名人

 丑年の人は、明治34年、大正2年、大正14年、昭和12年、昭和24年、昭和36年、昭和48年、昭和60年、平成9年に生まれた人たちです。今年は、一体どんな人が生まれるのでしょうね?

芸能界…… 宮崎あおい、松島奈々子、篠原涼子、稲垣吾郎、市川染五郎、反町隆史、IKKO、間寛平、森繁久弥、美空ひばり
スポーツ界…… イチロー、宮里藍、太田雄貴
経済界…… 御手洗毅(キャノン初代社長)、磯田一郎(元住友銀行頭取)、日枝久(フジテレビジョン代表取締役会長)
政界…… 佐藤栄作、橋本龍太郎、バラク・オバマ・ジュニア(アメリカ第44代大統領)
明治以前の有名人…… 蘭方医・杉田玄白(享保18年生まれ)、画家・円山応挙(享保18年生まれ)、初代総理大臣・伊藤博文(天保12年生まれ)
 参考文献:
『牛・丑年 おもしろ雑学帳』穂積昭二著 講談社
『干支ってなぁ〜に?』ヤ見憲明著 チクマ秀版社
『十二支の動物たち』五十嵐謙吉著 八坂書房
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