2006年3月にパリにて開催された「アンチエイジング学会」には、世界各国からアンチエイジング専門のドクターが集結しました。学会を訪れていた米井嘉一先生、岩本麻奈先生と寺山編集長が対談し、アンチエイジングについて、様々なご意見をお伺いしました。
その対談の模様を、前回に引き続きお伝えします。今回はフランスと日本のアンチエイジングや食に対する意識の違いと、年齢についてのご意見です。
フランスと日本のアンチエイジング意識の違い
寺山編集長(以下寺山): 先日、着飾って凛としたおじいちゃんとおばあちゃんが、レストランですごい量のお料理を食べ、ワインを飲み、たばこも吸っていました。
岩本麻奈先生(以下岩本):すごく楽しそうでしたね。姿勢も良く、ニコニコしながらしゃべっていましたね。彼らのライフスタイルも一つのヒントです。
寺山:フランス人の様子を目の当たりにして、これから日本人にとって「人に自分を見てもらう」ということが必要だと実感しました。
岩本:日本では、ご老人は外に出なかったり、家にいた方が楽だと引きこもっていたりしますが、服をきちんと着ることは、それだけで脳のアンチエイジングになるのです。脳のアンチエイジングはとても大事。もちろん体が健康ということも大事ですが、精神性はすごく大事なのです。そういう意味では、外で楽しく食事をするということが、ご老人にとって一番手っ取り早いアンチエイジングの方法ではないでしょうか。
米井嘉一先生(以下米井):その通りですね。そういう方法が一番大事です。
寺山:フランスでは、寝たきり老人が少ないそうですね。
岩本:フランスは寝たきり老人の数が、日本の3分の1という話です。フランス人の寿命は、日本に次いで2番目か3番目に長いです。だとしたら、最後まで元気でいられるということが理想的な状態ですね。
アメリカでは、おばあさんもきれいな格好をしていないと、倒れても誰も助けてくれないそうです。それが逆に自分の活性化になっていると聞きました。フランスも同様で、老人の1人暮らしが多いようです。フランスは保険がすごく発達しているので、日本と事情が違い、老人ホームにもすぐに連れて行きます。でも、ご老人もある程度きれいにしていないと、いざという時に助けてもらえない。普段他の人と仲良くしているか否か、ということも大切です。だから、コミュニケーションが活発になります。皆さん、公園などでおしゃべりをしていますが、それが脳と体の活性化につながるのでしょう。日本では、外に出て転んだら大変だからと、どんどん外に出さなくなり、それが逆に悪循環になっているように私には見えます。
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