最初は使い慣れた感触の素材から、ということで、使ってはいないが家にあるのは羽根枕。高さは2cmの羽根タイプを皮切りにさっそく仰向けに寝てフィッティング。カメラ目線バッチリじゃあないけれど・・・この包まれ感は何だろう。初体験である。頭や首が軽く、なんといっても肩が背中が楽なのだ。私は今までいかに脊柱に負担をかけて寝ていたのか!S字状のカーブをどれだけ無視して寝てきたのか!!と反省しきり、である。あぁだから肩や首のコリがあったのかも、と。
2cmと3cmの高さ違いを試し、2cmのほうがフィットするので、そちらを選択。素材は、ありとあらゆるものを試したが、結局やわらかめの方向に落ち着いて、そちらから選択することに。
頸椎弧の深さは、だいたい1cm〜6cm、それに枕の高さは個人の好みもあるので、計測の数値を参考にしながら1−2種類違う高さの枕を試してみる。女性は2−3cm、男性はもう少し高めの方が多いという。素材は使い慣れているものから、試してみたいものまでいろいろだが、かため→粒状で音がする、やわらかめ→主にわた状で音がしない、を参考にお好みで試していくとよい。あとは生活環境も意外に大事だとわかる。
「生活環境と住環境を今一度考えられた上で枕を選ぶことは重要です。何故なら、枕の素材によってメンテナンス方法が全く違ってくるからなんですね。」とは、快眠スタジオ 睡眠改善インストラクター、山尾 碧(やまお みどり)さん。
「例えばマンションにお住まいの一人暮らしで、ほぼ一日窓を閉め切っているという場合は、羽根やそばがらを選択するよりもパイプタイプやビーンズタイプのポリエチレン素材を選択したほうがよろしいかと思います。羽根やそばがらのような天然素材は、風通しが良いほうが断然に良く、乾燥した状態を保つのがベストです。ですから密閉された環境ではメンテナンスが負担になる場合もありますね。また寝室が日当たり良好だった場合などは、そばがらにはいいのですが、逆に羽根は日陰のほうがよかったりと、素材によっても特徴があります。また羽根の場合は梅雨の時期の匂いが気になる方もいらっしゃいますし、そばがらは人体に害はありませんが虫の問題も。一方プラスチック素材の場合は、風邪通しや日当たりにあまり神経質にならなくてもいいので、比較的メンテナンスが楽ですね。お洗濯で丸洗い可能なのも魅力ですし、汗をかきやすい方にはオススメです。しかしながら天然素材ではありません。」
このようにメンテナンス方法や使う人の体の特徴、寝室の環境などによってフィットする枕は変わってくるようだ。そしてどの素材にも一長一短があるので、自分にとっての一番を捜すのに、山尾さんのような存在はとてもありがたい。各々の素材を熟知している上、それぞれの環境に合わせた枕の選択をナビゲイトしてくれるから。枕は羽根のフワフワ感とか、さらっとした感触だけで選んでしまっているところだが、枕が心地よい環境(それはつまり我々の寝る環境)まで考えて枕を選ぶ、という視点は今までになかっただけに、とても新鮮だ。
「アレルギーをお持ちの方、枕の選択には注意が必要です。羽根やそばのアレルギーの方はもちろんそれを避けますし、喘息の方はそばがらがつぶれると粉が出るため避けます。ハウスダスト全般に反応する、またはアトピーの方は、ほこりのたちにくいシルク(絹わた)や洗えて清潔なポリエステルわた、プラスチック素材が適切です。」
ン〜、枕が生き物のように思えてきた。とはいえ、ふと考えてみると、季節によってシーツや掛け布団は変えるのに、枕はカバーも含め年中一緒だったような・・・。
「枕も寝具のひとつ。枕の衣替えは、ほとんどの方がしていらっしゃいませんが、本来、枕も季節と共に変えるのが理想です。中の素材を変えるだけで冬は保湿性を高くし、夏は冷涼感を高め吸湿性を向上できます。そうすると、より快適な毎日をサポートできるはずなんです。カバーなども冬はニットに近い肌触りのもの、夏はサラッとしたコットン、汗をかきやすい人はパイル地など、それだけでもかなり心地よさが違うと思います。また枕にも寿命がありますが、素材によって交換の目安が違いますので、何なりとご相談にいらしていただきたいですね。あとはご本人のいびきだけではなく、いびきが原因で眠りにくい方もご一緒にいらっしゃったりというケースもありますので、お気軽に足を運んで、どんどん枕を寝て試してもらえれば、と思っています。」
ごもっともです。皆さん、もっと枕ソムリエを活用しましょう。 |