学校の成績などは頑張ってもなかなか成果が出ませんが、体重はダイエットすればすぐ結果が現れる。それで満足感を得て、どんどん体重を落としていくと、女性として非常に大切な「生理」が止まってしまうという、ゆゆしき事態が発生します。ダイエットが成功すると生理が止まってしまい、生理を起こそうとすると、食べて体脂肪を増やさなければならない……生理とダイエットは、危ういシーソーのような関係に見えます。若い女性は、生理が止まった段階でマズイとは思わないんでしょうか。
伊達:それが、不思議と思わないようなんですよ。
寺山:体重が1グラムでも減っていればいいと、目先のことで一杯一杯で、20年後30年後にどうなるかなんて考えていないんでしょうね。
島田:生理が止まってしまうと、幸か不幸か乳がんのリスクは低下しますが、骨はもろくなり髪も肌も衰えていきます。骨は毎日再生していますが、急激で過剰な体重減少により生理が止まると女性ホルモンに促進されていた骨の再生も不十分になります。新しい骨ができない。20代にして70代の骨密度ということが、現実に起きてしまう。20年後ではなく、その時点でもう「おばあさん」なんです。綺麗で可愛くなるはずが、「小さなおばあさん」になってしまうわけです。
伊達:一度も花開かないままになってしまいますね。それに、更年期障害はきっとひどくなるでしょう。
島田:でも、適切な程度まで体重や体脂肪率を増やしていくと、生理が戻って来て女性らしい体になります。
伊達:よく婦人科の先生は「ダイエットして生理が止まった人は、元の体重に戻さないと生理が来ない」とおっしゃるようですが、私の経験ではちょっと違います。その人の体重が何キロであてっも、体脂肪率がある程度あっていいホルモンさえ出せれば、体は反応します。体重さえ戻せば単純に生理が来るというものではないように感じてます。
寺山:婦人科の先生も、「数字」なんですね(笑)。
伊達:私自身ダイエットをしすぎて、生理が10年くらい止まっていたこともありますが、ホルモン剤を飲むと太るって分かっていましたから、恐くて飲めなかったんですよ。絶対に自力で生理を来させてやるって、自分なりに食しを工夫して頑張りました。それで私は体重を戻さなくても生理が来るようになりました。
もちろん、ホルモン治療が必要な人もいるでしょうから、婦人科できちんとみてもらうことは大切です。でも、人によっては副作用で太ってしまうケースもあるので、やせたい願望が強い患者さんは間違いなくパニックになってしまう。薬だけに頼るのではなく、食べることでもできることはあると思うんです。
寺山:もっとお医者さんは管理栄養士さんとタッグを組んで、横の連携を強化しないといけませんね。
伊達:お医者さんは食事には注目しないんですよ。婦人科に行っても内科に行っても、お医者さんに食事を見せることはないでしょう。残念ながら食事は、医師の専門分野ではないんです。だから病院では栄養士が食事の指導にあたるのです。
島田:今にわかにメタボ健診(特定健診・保健指導)制度ができて、食事の内容を見ましょうということになりましたから、興味を持っている医者は勉強するようになってきてます。
島田:運動と食事と体脂肪率は関係がある。女性は体脂肪率が10パーセント以上ないと生理が来ませんから、全身のバランスで見るわけです。
伊達:初潮も体脂肪率に応じて来るわけですし。
(編集部)今どきの女の子の生理が早いのは、食生活の変化で体脂肪率が高くなっているからだそうです。昔は小学校6年生〜中学1年生くらいでしたが、今は早い人だと小学校3年生くらいで来てしまうとか。体脂肪率が高いと体温は低くなる傾向にあるらしく、この時期の体としては危険もあるそうです。 |