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メッセンジャー
モンナージュ編集長 寺山いく子
アンチエイジングで美しさにに磨きをかける
ビューティー
 
自分の目で見て体験する資生堂の鎌倉工場見学

今回モンナージュスタッフが訪れたのは、化粧品メーカー大手・資生堂の鎌倉工場です。化粧品は毎日、自分の肌に直接付けるもの。だからこそ、生産工程を自分の目で確かめてみたい。そんな思いと、そもそも化粧品ってどうやって作られているんだろう??という素直な興味。学生時代の社会科見学のようなワクワクした気持ちで、工場に行って来ました。

自分の目で見て体験する資生堂の鎌倉工場見学
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工場概要説明とVTR

大船駅から徒歩10分ほどの住宅街の中にあるのが、資生堂鎌倉工場。1959年に創業を開始し、今年50周年を迎える鎌倉工場は、資生堂の施設の中で唯一、一般見学者を受け入れる施設とのこと。
平日に1日2回、午前と午後に工場見学ツアーがありますが、毎回60人ほどの人が訪れる大人気ぶりだそう。なんと旅行中の外国人や、ホームステイ中の外国人も多く訪れるとか。

工場見学は約2時間で、本日のスケジュールは、
1.工場概要の説明
2.VTRによる工場案内
3.見学(生産工程)
4.体験時間
……という充実の内容。

自分の目で見て体験する資生堂の鎌倉工場見学自分の目で見て体験する資生堂の鎌倉工場見学

まずは工場概要の説明をして頂きました。
資生堂には国内に4ヶ所工場があり、静岡県の掛川工場ではファンデーションやマスカラなど、埼玉県の久喜工場ではシャンプーやコンディショナー、大阪工場ではヘアリキッドなどを分担して生産しているそう。この鎌倉工場では、主に口紅や化粧水、乳液などのスキンケア商品を生産。国内で販売されている資生堂の口紅は、全て鎌倉工場で作られているんですって。

続いてVTRを視聴します。研究所や工場で働く社員の、ものづくりへの思いが語られています。
研究→生産というプロセスや、集じん機・アルコール消毒などの衛生管理、原料受入検査→中身製造→充填→包装→出荷前確認→出荷という生産工程を、VTRで勉強できます。ふむふむ、なるほど……。
「自分に元気がないと、作っている中味も元気がなくなる気がします。だから全員で声を出しながら、みんなで現場の雰囲気を盛り上げて仕込むようにしています」という、中身製造を担当している若手社員の言葉が印象的でした。

 

自分の目で見て体験する資生堂の鎌倉工場見学

これが見学スタイル。帽子とビニールコートを着用したら準備完了。

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いよいよ工場見学

では、実際に工場見学に入ります。建物内に入る際に入口の装置で靴カバーを着けます(足を入れて強く踏むと、平らに張られていた靴カバーのゴムがパッと離れて、自動的に靴がくるまれる)、工場エリアに入るときには、さらに帽子、白衣のようなビニールコートを身に着け、準備完了。今回は取材を兼ねているため単独で(でも通常と同じ内容で)見学させてもらいました。が、工場内撮影禁止の箇所もあり、お借りした画像も交えて紹介します。

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●管理部

最初に見学するのは、なんと管理部。社員の皆さんが、黙々と働いていらっしゃいます。普通のオフィスの光景ですが、一つだけ違う点が。天井のあちこちから長〜い紐が下がっていますが、あれは一体何?

  • 各自使用しない時はこまめに消せるように、蛍光灯から紐が下がっているのです。一部の廊下やトイレには「人感センサー」があって、人が入ると点灯し、いなくなったら消灯するようになっています。冷暖房の温度設定も決まっているんですよ。

地球温暖化が叫ばれる現代、工場では小さな省エネの積み重ねで、二酸化炭素削減に取り組んでいるそう。こういった執務室なども見せてしまうあたりも、社風が伝わる見学工程です。

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●食堂

次の見学場所は、食堂。随分広い食堂ですが、それもそのはず、500人も収容できるそうです。外食すると工場作業服を全部着替えないといけないため、ほとんどの社員は社内食堂でランチを食べるそう。
食堂の壁には、企画案のようなものが貼ってありますが、あれは……?

  • 「知恵椿」と言って、社員自らが仕事の効率化など工夫・改善したアイデアを提案する制度です。高い評価を受けたアイデアは、表彰されたり他の事業所・部署でも取り入れられます。

壁には表彰された人の写真が飾ってありました。上司・部下関係なくアイディアが採用されるとはオープンでリベラル。これも社風なんだろうな。

自分の目で見て体験する資生堂の鎌倉工場見学
●口紅の製造ライン

いよいよ工場棟へ。最初に案内されたのは、口紅の生産・仕上げラインです。4色の口紅「マキアージュ」の充填からパッケージまでが行われ、1日で多い日は7万本もの口紅を製造しているそうです。

  • 口紅の筒状容器の底には、穴が空いています。繰り出した状態で口紅の型を付け、逆さまにして底の穴から高温の口紅を充填。ゆっくり冷やし固めて型を外します。色の具合や傷がないかなど、1本1本目視検査をした後、底の穴をシールで塞ぎます。これを「バック充填方式」と言います。

ここで実際、検査ではじかれた商品を見せてもらいました。「パッケージを開けた時に、お客さまがガッカリしてしまうのを避けるため」出荷しないのだとか。どのような商品がはじかれるのかは、ぜひ実際に見学してみて下さい。

●チューブフロア

掃除機のような集じん機で10秒間体のほこりを取り、手をアルコール消毒して、エアシャワー(クリーンゲート)を通ってチューブフロアに移ります。
チューブフロアは文字通り、クリームなどのチューブに入っている商品を生産しているエリアです。短い生産ラインがたくさんあるため、他品種を少しずつ作れるそう。
工場内ではベテランの社員さんたちが、大きな機械音に負けないように、大きな声をかけあって確認しながら作業をしています。生産ラインのスピードは速いので、慣れていない従業員はとても話をする余裕はないそうです。工場としても珍しいそうです。たくさんの人が働いていましたが、帽子の色で責任者や役割がわかるようになっていました。

自分の目で見て体験する資生堂の鎌倉工場見学

掃除機のような集じん機を10秒間当て、体のほこりを取ります。

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自分の目で見て体験する資生堂の鎌倉工場見学

手のアルコール消毒も忘れずに。

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自分の目で見て体験する資生堂の鎌倉工場見学

そしてエアシャワー。

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チューブの商品は、底からクリームなどを入れて圧縮して閉じ、角を落とします。押してみて中身がはみ出ないか「強度検査」をし、裏に印刷してあるセンターの印を見て、ゆがんでいないかチェックしたら完成。

●排水処理施設

廊下を歩きながら、窓の外にある排水処理施設のタンクも見ます。まわりが住宅街なので、排水処理は重要。リサイクル活動も活発に行われ、38種類に分別してリサイクル率は100%とのこと。

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●乳液・美容液

長い廊下を歩いて、第1工場棟に移ります。ここでは、乳液・美容液を製造中。窓を通して、上から巨大な釜を見下ろせます。生産量に応じて、使用する釜を調整するそうです。一番大きい4番の釜の容量は10トンで、1回5万本の乳液を生産可能。

  • 乳液は「乳化作用」を利用し、水相(保湿成分、植物抽出液など)と油相(植物オイル、ワセリン、ミツロウなど)を別々の釜で混ぜてから、一緒に混ぜ合わせて作ります。高温でで乳化させるため、とても暑く、体力勝負の男性社員のみのエリアです。このエリアの男性社員は、多いときは1日に6回も着替えています。乳化させた乳液を冷まし、中味を濾過して検査したら、ビンにつめて完成です。
自分の目で見て体験する資生堂の鎌倉工場見学
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●化粧水・乳液の充填フロア

使用見本を作るパウチフロアや、地域交流の夏祭りも行われるというテニスコートを見ながら、化粧水・乳液の充填フロアへ。見学時は「エリクシール」を充填中。1日2〜3万本が充填されているそうです。
1度空気洗浄されたビンが再度空気洗浄されます。充填機で中身を入れたら機械でふたを閉めていきます。次々と充填されていく様子は、見ていて小気味よい感じ。
ここも自動生産ラインですが、やはり人の目も入ります。ビンを両手で1本ずつ持って、上下ひっくり返して照明に透かし、前後もひっくり返して傷や破損がないか念入りにチェック。チェックが終わったものは、パッケージに入れられて梱包されます。機械による重量チェックもあり。工場というよりは、教会の聖堂的というか、クラシカルレトロな体育館の雰囲気が漂う、ドーム型天井の明るい室内。鎌倉工場の50年の歴史も感じましたが、工場の建物にも美意識を感じました。

自分の目で見て体験する資生堂の鎌倉工場見学

「球状パール剤」の説明を受け、パネルをじ〜っと見入る寺山編集長。

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●出口のパネル:球状パール剤の開発

工場棟出口のパネルでは、「球状パール剤」開発に関する説明が。
口紅を付けていて気になるのは、唇に縦ジワができてしまうこと。それを解決するヒントになったのは、意外にも「すりガラス」だそうです。すりガラスが柔らかい印象なのは、光を拡散させるから。「ならば、光を拡散させる成分を作って口紅に配合すればいいのでは」と思いついた研究者が完成させたのが「球状パール剤」。これを口紅に配合することで、ふっくらしてシワが目立たず、つやが出る唇に。案内では開発までにかけた期間が説明されますが、球状パール剤の開発はなんど○○年!(今は秘密です)「マキアージュ」などに配合されているんですって。地道な研究が「美」を作るのですね。

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これは難しい!官能検査にチャレンジ

これで約40分の見学が終了。「長命草」(青汁とフルーツ)や「アペリオ・フォルテ」(ヒアルロン酸とマルチビタミン)などをサービスしていただいて、ちょっと休憩。

休憩後、「体験学習」(官能検査編)が始まります。これは見学ツアーごとに内容が異なるそうでいくつかの体験学習メニューが用意されているそうです。モンナージュスタッフは(官能検査編)を体験させてもらいました。

工場には「官能パネラー」という、工場が認定した特別な検査員がいます。機械では識別しにくい下記のような部分、

1.外観(パッケージの印字に誤字脱字がないか、向きが合っているか、など)
2.色(ツヤ、発色、透明感など)
3.使用感(ベタツキなど)
4.匂い(違う匂いが付いていないか、など)
……について、人間の五感を使って、標準見本品と出来上がった商品を比較検査するとのこと。官能パネラーの条件としては、下記が挙げられるそうです。

1.識別能力(色が見分けられること、匂いを嗅ぎ分けられること)
2.再現性(例えば、5つ匂いを嗅いでから、2番目の匂いが思い出せるか)
3.表現がすなおで客観的評価ができること

自分の目で見て体験する資生堂の鎌倉工場見学

そろばんではないですよー。

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果たして、私たちモンナージュスタッフには官能パネラーの適性があるのかしら? 「色彩弁別器」という道具を使って、テストしてみました。詳しい内容は「工場見学にいらしたお客様の楽しみでもあるので、ぜひ秘密に…」とのことでしたので、画像だけチラッと紹介。

取材と称して、体験学習を2種類させていただきました。どちらもシンプルな体験ながら、私たちのスキンケアに密着した内容のものもあり、あらためて「へぇ〜、そうだったのか!」と気づかされるものでした。これはぜひ、みなさんにも体験してもらいたい。

自分の目で見て体験する資生堂の鎌倉工場見学

 工場見学ができるということは、消費者に生産工程を見せても恥ずかしくない、誠実な製品作りをしているということ。食品の産地偽装や建築物の耐震偽装など、作り手への信用が揺らいでいる現代だからこそ、会社の真摯な姿勢を自分で見極められる工場見学は、貴重な経験ではないかと思いました。
 また工場見学は、普段何気なく使っている商品が、いかに多くの人々の手を経て私たちに届けられているのかを気付かせてくれる機会でもありました。工場見学を通して自然と感謝が生まれ、商品を大切に扱い、丁寧に使用するようになるというメリットもあるのかもしれません。

 取材にご協力いただきました
資生堂鎌倉工場

資生堂鎌倉工場
ホームページ >>

住所:神奈川県鎌倉市岩瀬1-2-3
電話:0467-44-6141(見学専用フリーダイヤル:0120-127-920)
営業時間:10:00〜、13:30〜の1日2回


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