この夏の「土用の丑の日」は7月23日と8月4日。この日にうなぎを食べるという習慣は、江戸時代の発明家でアイデアマンの平賀源内が定着させたという説が有力です。うなぎ屋に、夏場に売れないうなぎをなんとか食べさせる方法はないかと、相談を持ちかけられて考えた、今でいうコマーシャルコピーがその始まり。「本日丑の日」と書いて店先に張ったのですが、これが当たって、土用の丑の日にはうなぎを食べるようになったといわれ、それが現代にも続いているのでしょう。
この時期にうなぎを食べるのは、じつはとても理にかなったことです。うなぎにはたんぱく質が豊富なことに加え、ビタミンAやB1、B2、D、Eなどもバランスよく含まれています。これらのビタミンには、からだの免疫力を高めたり、皮膚や粘膜を保護する働きがあり、疲れがたまりがちな夏場を元気に乗り切るのに効果的です。また、うなぎはヌルヌルとしてつかむのもひと苦労ですが、このような表皮にぬめりがある動物に含まれるムコ多糖類という物質には、弱った胃腸の粘膜を保護し、消化吸収を助ける役割があります。万葉集に収められている大友家持の歌に、夏痩せらしき友にうなぎを勧めるものがありますから、夏にうなぎを食べると健康によいことは、ずいぶんと古くから経験的に知られていたのでしょう。
ただし、うなぎはコレステロールが100g中に230mgとかなり多く含まれる食品。血中コレステロールが高めの人は、用心が必要です。
私から、2人でひと串とうなぎの量を抑え、その分こってりとしたたれでうま味を加えて満足感も得られるようにした「うなぎのまぶしどんぶり」をご紹介します。
うなぎのまぶしどんぶりの材料は、4人分でうなぎの蒲焼2串、細ねぎ5〜6本、ご飯4人分。調味料はみりん、しょうゆ、砂糖を用意します。 うなぎは串からはずして耐熱皿に移し、ついているたれをからめます。ラップをかけて電子レンジで1〜2分間加熱し、取り出して縦半分に切り、小口から7〜8ミリ幅に切ります。青じそはせん切りにし、いったん水に放して水けをふきます。小鍋にみりん大さじ4、しょうゆ大さじ2と2/3、砂糖大さじ1と1/3を合わせて火にかけ、ひと煮立ちしたら火を止め、たれを作ります。
温かいご飯にたれをかけてさっくりと混ぜ合わせ、どんぶりに盛り、うなぎをのせ、青じそを散らします。好みで粉山椒を振っていただきます。
普通のご飯の替わりにすし飯を使えば、さっぱりとしたうなぎちらしに。この場合、たれは必要ありません。すし飯にもみのりや錦糸卵を敷いてからうなぎを散らすと、見栄えもよく、もてなしにもむく一品になります。
副菜には、「ゴーヤのおひたし」をご紹介します。ゴーヤは別名にがうりと呼ばれることでもわかるとおり、さわやかな苦味が身上の沖縄野菜。ビタミンCが豊富で、夏バテ予防や疲労回復にもってこいです。ゴーヤは縦半分に切ってスプーンなどでワタと種をくりぬき、端から薄切りにします。玉ねぎも薄切りにし、それぞれ塩を加えた熱湯でサッとゆで、冷水で冷まして水けをきります。ゴーヤと玉ねぎを合わせて器に盛り、削りがつおをのせ、しょうゆをかけていただきます。ゴーヤの独特な苦味はくせになるおいしさ、という人も多いのですが、逆にそれが苦手という方は、さやいんげんやグリーンアスパラに換えても結構です。
どんぶり物には汁物が欲しくなります。夏ならではの、みょうがを添えたなすと素麺のすまし汁はいかがでしょう。だしに薄口しょうゆ、塩、酒で味つけして汁を作ります。お椀に、ゆでて水けをきったそうめん、焼きなすを入れて汁を張り、小口切りのみょうがと斜めせん切りの青ねぎを真ん中にのせます。具をすべて冷やして椀に盛り合わせ、冷たい汁を張った冷やしすましにしてもおいしくいただけます。
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