齋藤:エカテリーナ2世の夫はピョートル3世ですので、その頃にはピョートル1世が手がけたサンクトペテルブルグの街づくりも、半分程できていました。しかし、ヨーロッパに比べると、センスやファッションはまだまだ田舎っぽい感じ。そこでエカテリーナ2世はマリー・アントワネットの時代の型を取り入れ、結果的にどんどん豪華になっていきました。だから、ヴェルサイユ宮殿とエルミタージュ美術館は造りがよく似ているのです。
寺山:女性には魅力的に映りますね。「ロシア」というと、ついネガティブなイメージが浮かびますが……。
齋藤:女性は特にそうだと思いますが、「ロシア」と聞くと「軍事的」「質素」「怖い」「寒い」というネガティブなイメージを先に浮かべがちですものね。でも、サンクトペテルブルグに関しては、フランスよりも豪華と言っても過言ではないと私は思います。
寺山:ロシアと言えば、毛皮のイメージがありますね。
齋藤:そうですね。あの毛皮の豪華さに、ロシア人女性の美貌が合うんです。ロシアではごく一般の人が毛皮を着ています。自分に合った毛皮を選んで一生かけて大事に着ていく習慣があり、そのためかオーダーメイドの毛皮屋さんも何軒もあって、安いものなら3万円代から作れます。自分に似合う色や型を見極めて、色々な毛皮をオーダーしていくマダムの様子を見ていると、やはり貴族の街だと感じましたね。
寺山:エカテリーナ2世が心を入れた街は、フランスなどの色んなヨーロッパの文化を取り入れて、作られていったのですね。
齋藤:そうです。文化の一つにファッションがあると思いますが、エカテリーナ2世はファッションも意欲的に取り入れ、フランスのドレスを常にチェックしていたそうです。装飾品もブローチや指輪、時計など、沢山のコレクションがあります。エカテリーナ2世は煙草を吸う方だったのですが、ブルー・サファイヤやダイヤモンドで細工をした、豪華な嗅ぎ煙草入れのコレクションもあります。そのような装飾品も含め、エルミタージュ美術館には300万点ほどのコレクションがありますが、正確な数は分かっていないそうですよ。
寺山:正確に把握しきれないほどの、膨大なコレクションなのですね!
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