では、具体的にどういうアプローチをするのでしょうか。
「風邪の場合、悪寒などのサインが出た時に来て頂ければ、すぐに症状を取ることができます。しかし、慢性的な場合、病位(病変のある部位)が深部に入っているため、それを外に出すのに時間がかかります。漢方は時間がかかると言われるのはこのためですが、症状によっては短期的に治るものもあります。相談員が客観的にお話しすることで、自分が今どういう段階にいるのか分かります。その上で、暖めるのか冷やすのか、取るのか補うのか、バランスを見ながら漢方で整えていきます」
なるほど……漢方は崩れた体のバランスを整えてくれるのね! と感心していたところ、藤井さんはさらに続けました。
「ただ、『1に養生、2に漢方』と言われるように、一番大切なのは生活です。漢方を飲んで良くなったとしても、止めた途端に元に戻ってしまうのでは、体質(体の癖)が治っていないということ。食生活や生活サイクルの改善など、意識改革も重要です。漢方を取り入れて変化を実感することで、自分の生活を振り返るようになることが大切。特に女性は月経というリズムがありますから、そのリズムが整って来たという実感があれば、自分に興味を持つようになります。すると、そこから全てが変わって行き、ハッピーに歳を取っていくことができます」
忙しいとついついバラバラの時間帯に食事をしたり、睡眠不足になったり……。自分の生活を振り返ると、反省する点ばかりです。
「生活の中では『寝・食・動・休・環』が大事です。このバランスが崩れてくると、慢性的な症状が出て、やがて病気になってしまいます。職場の環境など、変えられないものはありますが、食事を1日3食摂るなど、自分が今変えられるものから始めていくといいでしょう。毎日の積み重ねが自分の力になっていくのです。まずは自分に意識を向けること。意識を変えることで行動が変わり、最終的には自分が変わるのです。体と心も別々ではなく、全ては繋がっています。漢方だけをやっていれば痩せたり、肌が綺麗になったりする訳ではありません。色々なことに気付く感性を磨くことで、様々なものを享受でき、豊かで美しくなるのです。漢方は『何かを変えたい』という方にとってきっかけの一つ。私達は『鏡』であり、鏡を通してお客様が色々なことに気付いて下さると嬉しいですね」
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