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自分の歳は自分で決める。成熟世代のアンチエイジングサイト”モンナージュ” 最新号 BACK NUMBER
メッセンジャー
モンナージュ編集部
アンチエイジングにつながるいろいろなコト
カルチャー
姿勢・呼吸・心を整え、自分と向き合う「坐禅」
 一度体験してみたい! でも、ストイックで厳しそうだし、何となく敷居が高くて……。そう思っている方は、結構多いのではないでしょうか?  今回、東京・文京区の茗荷谷にある曹洞宗の寺「林泉寺」に、モンナージュスタッフが坐禅体験に行って来ました。林泉寺は、新聞や雑誌などのメディアにも多く取り上げられ、外国人も多く参禅することでも有名なお寺です。果たして、坐禅はアンチエイジングにも好影響があるのでしょうか?
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まず、坐禅の作法を学びます

 丸の内線茗荷谷駅からほど近い場所にある、曹洞宗の寺「林泉寺」。1602年に創立された由緒あるこのお寺では、毎週月曜日の朝と水曜日の夜に坐禅会を行っています。性別、年齢、国籍、宗教、宗派などを一切問わない、開かれた坐禅会とのこと。モンナージュスタッフは、水曜日の夜の坐禅会に参加しました。坐禅の指導を行うのは、現住職の江田真人氏。

坐禅会は19時からですが、初回のみ18時半に集合し、江田住職から直接坐禅についての指導を受けます。この日も20人ほどの初参加者が集まり、少々緊張した面持ちで江田住職の説明を聞いていました。

品川漢方ミュージアム
品川漢方ミュージアム

まず合掌の仕方、小指と薬指を折りこんで両手の3本指で物を持つ作法、「叉手(しゃしゅ)」という何も持っていない時の手の位置などを教わります。禅の道場では所作や立ち居振る舞いにも厳格な礼儀作法があるそうです。

江田住職いわく「私は4年ほど特別な修行をしましたが、その中で形を整えることの大切さを徹底的に教わりました。よく『心がこもっていれば、形なんかどうでもいいじゃないか』とおっしゃる方がいらっしゃいますね。でも、ほとんどの場合、形を整えるのが面倒くさいだけの逃げ口上ではないでしょうか。きちんと形を整えていけば心はこもってくるものですし、心をこめればそれはおのずと形になって現れるのです。まず形を、姿勢をしっかり整えるというのが、禅の修業のあり方なんです」

 続けて坐禅堂の出入りの仕方、「坐蒲(ざぶ)」という丸い座布団の扱い方、本来の坐禅の座り方である「結跏趺坐(けっかふざ)」の組み方などを教わります。きちんと座ったら姿勢を整え、腹式呼吸で深呼吸をして手を組み、視線を畳半畳先に落とします。

「坐禅に入る前に何回か深呼吸をし、坐禅中は鼻から吸って鼻から吐く呼吸をします。坐禅中は次から次へと色んなことが頭に浮かんで来ますが、雲のように流れるにまかせていると、やがて消えていきます」(江田住職)

 

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「禅」って何?

 坐禅スタイルで江田住職の話を聞いているうちに、そもそも「禅」って何だろう?という疑問がわいてきました。

「皆さんは、禅には坐禅のような独立した修行法があると思われるかもしれませんね。確かに坐禅は大切な修行ですが、朝起きること、顔を洗うこと、トイレに行くこと、食事を戴くこと、お風呂に入ること、眠ることも、坐禅と同様に大切な禅の修行なのです」(江田住職)

 なるほど……何も特別な修行ばかりが「禅」なのではなく、日常生活で自分がその時にやるべきことに集中するのも、禅の大事な修行なのですね。

薬剤師/相談員の藤井有紀さん。

 江田住職は、自分を整える大切さについて、熱心に話されます。

「『正しい』という字は、一度止まる、と書くでしょう。最近流れているニュースを見ていると、怒りを抑えられず、止まれない人間ばかりですよね。一度止まって、そこで初めて正しい判断が下せるんです。自分を整えることができるのは、自分だけなんですよ。坐禅を組んで姿勢が整うと、呼吸が整う。呼吸が整うと心が整って静かになる。心が静かになって、そこで初めて正しい判断が下せるんです」

 姿勢・呼吸・心を整えることができる坐禅ならば、心と体のアンチエイジングにもいいかもしれない! そう思ってお話を聞いていたところ、江田住職はこう続けました。

「曹洞宗の坐禅は、目的や期待を一切認めないのです。日々の生活の中で淡々と自分を整えていたら、たまたま集中力がついた、健康になった、長生きになった、それだけのことです。それは付録でしかないんですよ」

 目的や期待を認めないのなら、何のために坐禅するのでしょう?

「その答えは、自分で実際に座って姿勢・呼吸・心を整え、実践し体得して導き出すしかありません。他人が実践し体得して出した答えは、自分の答えにはならないからです。禅について知りたければ、本屋に行けば沢山本は売っています。でもそれは頭の中の知識でしかない。実際に坐禅を組んで呼吸を整えてみなければ、その時の心のありようは分からないんです。そして、その心のありようが日常の隅々にまで活かされなければ、坐禅をしても何の意味もないのです。1日5分でも3分でもいい、毎日座ることを続けて、少しでも自分と向き合う時間を作って下さい。何も坐禅にこだわることはありません。自分の個性に合った自分の整え方を見つけて欲しいですね」
カウンセリング
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いよいよ、坐禅を体験!

 いよいよ、坐禅を体験します。一つずつ坐蒲を持って、坐禅堂に入ります。40〜50人ほどの人々が壁に向かって坐禅をしていました。そんなに大勢の人々がいるとは思えない程の静けさ! 教えて頂いた通りの作法で坐蒲に座り、姿勢と呼吸を整えてから坐禅開始。

 ……静かに瞑想できるかと思いきや、頭の中は思考の嵐!「あの仕事、そろそろやらなくちゃ」「少し足がしびれてきたかも」などなど。真っ白な紙に字を書いていくように、静かな空間に思考の雲が浮かんでは流れていきます。でも、江田住職がおっしゃるように、流れるにまかせます。時折、バシッという警策の音が、静かな空間を切り裂くように響いて、ハッとすることが何度かありました。

坐禅の後は、読経。姿勢を伸ばし、腹筋を意識して「般若心経」などのお経を読み上げました。普段大きな声を出すことがあまりないので、なんだかいい気持ちです。その次に、広間に移動してお茶を頂き、江田住職の短いお話を聞いて、坐禅会は終了しました。

その後、広間は開放され、参加者はお茶などを頂きつつ、江田住職や他の参加者と談笑する場となっていました。色々な職業・年代・国籍の人々とのコミュニケーションができるのも、林泉寺坐禅会の魅力の一つなのかもしれません。
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坐禅を体験しての感想

 はじめて参加した人が坐禅を組むのは20分程度でしたが、ピンと張り詰めた静寂の空間に身を置くことで、呼吸に集中し、自分と向き合うことができました。呼吸が大切だということは無意識に知っていましたが、忙しい日常の中では呼吸に集中する時間はなかなか持てないものです。そういう意味でも、とても貴重な時間でした。

 姿勢を整え、呼吸を整え、心を整える坐禅。深い呼吸をしたり、大きな声で読経したりすることは、健康にも良さそうです。アンチエイジングにいいから坐禅をするのではなく、坐禅をしていたら心が落ち着いて、結果的にアンチエイジングにもつながった……。そんな切り口で坐禅をしてみるのも、いいかもしれません。

林泉寺
【住所】東京都文京区小日向4-7-2
【交通】東京メトロ丸の内線・茗荷谷駅から徒歩2分
【お問い合わせ】 TEL:03-3943-0605
HP:http://homepage3.nifty.com/zazen/index.htm
【坐禅会】
● 毎週月曜日:   坐禅:朝6時〜6時40分  読経:6時40分〜7時  作務:7時〜7時20分  粥坐:7時20分〜
● 毎週水曜日:   坐禅:夕7時〜8時30分  読経:8時30分〜8時50分  茶礼:8時50分〜9時
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