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香りを感じるということ 〜銀座「香十」さんにて香道プチ体験〜
香りを感じるということ 〜銀座「香十」さんにて香道プチ体験〜
最近モンナージュ編集部でのホットなキーワードは「自律神経」。前回のプレ更年期の話も、今回メディカルに掲載している冷えの話も、自律神経が1つのエレメントになっています。自律神経、言葉のとおり自律しているので自分ではコントロールできません。でも、リラックスさせてあげることはできます。そこで、気持ちよくリラックスできることは何かな、と考えて出てきたのが「香り」。ここ数年でアロマが定着していることからも、みなさんの香りへの関心は高そうです。そこでモンナージュ、視点を少し変えて、日本古来よりある和の香りに目を向けてみました。
  香りに触れてる?感じてる?
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香りに触れてる?感じてる?

みなさんは普段香りに触れていますか? たとえばマッサージサロンでアロマオイルの香りに包まれたとき、美容室でシャンプーのやわらかな香りに包まれたとき「気持ちが良いな」ってリラックスすると思います。実はその感覚ってとても大切らしい。少し難しい説明をすると、ストレスが自律神経に影響を及ぼすのは周知の事実。その自律神経を司っているのは脳です。体の中でも大切な臓器である脳にはブレインバリアという機能があって、異物の進入を阻止する働きがあり、お薬も届きにくいそうです。でもダイレクトに届くものもある。それは「味覚・嗅覚・聴覚・視覚・触覚」、五感と呼ばれている感覚です。人間のもっとも基本的な感覚です。好きな音楽を聴いたり、柔らかいものに触れたりしていると、安心したり落ち着いたりできますよね。これも五感が感じ取っているもの。中でも嗅覚は瞬時に喜怒哀楽に直結できるほど、脳への影響が大きいものだそう。ストレスと聞くと、忙しく働いているとか、プレッシャーがかかっているとかをイメージしがちですが、もっと根本を見つめると、五感による人間本来の機能が活かしきれていないこともあげられるそうです。そういえば、今日会社まで来た道で、何かの香りを感じ取ったり、風がどっちから吹いていたのか気にしてなかったなぁ。

 
銀座・香十:代表取締役社長の稲坂さん。
銀座・香十:代表取締役社長の稲坂さん。知識の広さと深さと、わかりやすいお話にモンナージュスタッフは夢中でした。「香りの本質は、確かにそこに存在しているのに、消えたり動いたり表れたりすること。一期一会なものなんです」
 
香を焚いてくださった関根さん
今回、香を焚いてくださった関根さん。美しい所作をされ、こちらの気持ちをよくしてくれる方です。関根さんに香りとは?と質問して「私らしさでしょうか」とお答えいただいたのが、とても印象的でした。
 
和紙の灯り 香炉を手で包み、ためるようにして香を聞きます。とても集中しています。即席な作法でしたが、気持ちがスンッと引き締まって気持ちが良かったです。
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日本の香りって素敵

モンナージュが和の香りに注目したのは「アロマもいいけど、お香もホッとするよね」な実体験があったから。そこで今回、1573年から続く香りの老舗「銀座・香十」さんにお話を聞きに行きました。『昔のキャリアウーマンである清少納言が「心ときめきするもの〜よきたきものたきてひとりふしたる」ってエッセイを書いているほど、香りは生活の中に存在していたのですよ』(銀座・香十代表取締役社長の稲坂さん)。これを今風に訳すと、(宮中仕えでストレスが溜まっていた清少納言が)「自分の空間で自分のために香りを焚いて味わうのって、リラックスできて素敵よ」。これって「私、部屋でアロマ焚いて癒されてるの」と同じ感覚です。現在さまざまなルームフレグランスが人気ですが、1000年前には和のルームフレグランスが既に楽しまれていたのです。

香道には折り目正しい作法があって、香道初体験のモンナージュスタッフには少々難しい。なので、香りを味わうことをメインに体験させてもらいました。今回焚いて頂いたのは「佐曽羅(さそら)」と「伽羅(きゃら)」の2つの香木。香木に直接火をつけるのではなく、炭に乗せた銀葉と呼ばれる板の上で加熱すると、ほどなく香りがたってきます。まずは佐曽羅。白檀の香りです。とてもマイルド。イノセンスの白檀とはずいぶんと違って、さっぱりとした柔らかな香りでした。そして多くの人々を魅了してきた伽羅。最初はとてもスパイシーな香りでオリエンタルな印象、時間とともに変化してきて、重厚感とぬくもりのある香りに。どちらも非常に上品で繊細(香りが薄いのとは違います)、意識を集中させないと味わえません。「あぁ、だから心を落ち着かせて、洗練された作法にそって楽しむのか」と納得。香道では香りを「聞く」と表現しています。耳を澄ますように香りを聞く。まさに五感が必要。香りをどう感じるのか「聞く側」の感性によるところが大きいかもしれません。このあとモンナージュスタッフは、伽羅の存在感ある香りが取材を終えた後も強く印象に残り、ずっと香りを味わい続けているような錯覚を覚えました。これが伽羅の魅力なのかもしれません。


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和の香りの効用

香十さんに伺ったところ、仏教の儀式の道具として日本に入ってきた「香」に多くの人々が関心を持ち、室町時代には香道につながる芸道に発展したり、生活に根付いたそうです。生活の中では衣服に焚き染めたり、洗髪の後に香り付けしたりして、心を休めたり、体を癒したり、殺菌や防虫といった使い方もされています。インドを中心として、東には香りが固形の状態で、西には液体の形で広がったそう。香の原料はもともと漢方薬でもあります。効果効能が備わっているものですが、ヨーロッパではその存在が磨かれアロマに代表される医薬品に。日本では情緒的なものとして磨かれ香道の誕生にも繋がります。それは今日の「効き目で選ぶアロマ」と「気分で選ぶ和香」という違いにも影響している様子。
昔、戦場に向かう武士の兜の中では伽羅が焚かれていたとか。伽羅は使う量によって鎮静と高揚という逆の効果があることが現代科学で解明されているのですが、どうやら戦国武士たちはこの効果をTPOに応じて使い分けていたらしい。

和の香り   和の香り   和の香り
香道とは?
香道とは、簡単に紹介すると香木を焚いてその香りを当てるゲームのようなもの。長年かかって洗練されてきた作法にのっとって香りを楽しみ、いろいろな教養を遊びとして駆使しながら、何の香りなのかを当てます。公家と武家の流れをくむ「御家流(おいえりゅう)」と「志野流(しのりゅう)」の2つの大きな流派があります。
明治時代の富国強兵のとき、精神性の高い文化は後ろに隠れてしまったが、ここ最近、香道が持つ豊かさが見直され、多くの人が楽しんでいるそうです。男性の参加者も多いらしい。
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和の香りでリラックス

嗅覚はほかの4感覚に一番強く刺激を与えるので、香りを上手に利用すれば、気持ちをより深くリラックスさせることができます。固形で発展してきた和の香りは、空間に香りを広げるのが得意。部屋の中にほのかに香らせれば、くつろぎ度がアップします。和の香りには古典的なものや、和風な情緒を表現したものもあり、好みや気分で選べる自由さがあります。焚いているときと残り香では違った印象が楽しめたりもする。
香十さんは『和の香りには精神的ファジーな部分があって、楽しむ側のアンテナによっていろんなキャッチの仕方ができます。感性を磨いていけば、例えば大脳がリラックスする以上のものを得ることもできますよ』とおっしゃいます。うん、妙に納得。和の香りは、自分の感性ひとつでいろんなとらえ方ができる、とても自由なタイプの香りなのかもしれません。心地よい香りを見つけてリラックスするのは、気持も自律神経もほぐしてくれる。ちゃんとアンチエイジングに繋がってくれます。

銀座・香十:代表取締役社長の稲坂さん。
 取材にご協力いただきました
銀座・香十(銀座本店)

東京都中央区銀座5-8-20 銀座コア4階
TEL:03-3574-6135
FAX:03-3574-1925
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