|
|
|
銀座・香十:代表取締役社長の稲坂さん。知識の広さと深さと、わかりやすいお話にモンナージュスタッフは夢中でした。「香りの本質は、確かにそこに存在しているのに、消えたり動いたり表れたりすること。一期一会なものなんです」 |
|
|
|
|
|
今回、香を焚いてくださった関根さん。美しい所作をされ、こちらの気持ちをよくしてくれる方です。関根さんに香りとは?と質問して「私らしさでしょうか」とお答えいただいたのが、とても印象的でした。 |
|
|
|
|
香炉を手で包み、ためるようにして香を聞きます。とても集中しています。即席な作法でしたが、気持ちがスンッと引き締まって気持ちが良かったです。 |
|
|
モンナージュが和の香りに注目したのは「アロマもいいけど、お香もホッとするよね」な実体験があったから。そこで今回、1573年から続く香りの老舗「銀座・香十」さんにお話を聞きに行きました。『昔のキャリアウーマンである清少納言が「心ときめきするもの〜よきたきものたきてひとりふしたる」ってエッセイを書いているほど、香りは生活の中に存在していたのですよ』(銀座・香十代表取締役社長の稲坂さん)。これを今風に訳すと、(宮中仕えでストレスが溜まっていた清少納言が)「自分の空間で自分のために香りを焚いて味わうのって、リラックスできて素敵よ」。これって「私、部屋でアロマ焚いて癒されてるの」と同じ感覚です。現在さまざまなルームフレグランスが人気ですが、1000年前には和のルームフレグランスが既に楽しまれていたのです。
香道には折り目正しい作法があって、香道初体験のモンナージュスタッフには少々難しい。なので、香りを味わうことをメインに体験させてもらいました。今回焚いて頂いたのは「佐曽羅(さそら)」と「伽羅(きゃら)」の2つの香木。香木に直接火をつけるのではなく、炭に乗せた銀葉と呼ばれる板の上で加熱すると、ほどなく香りがたってきます。まずは佐曽羅。白檀の香りです。とてもマイルド。イノセンスの白檀とはずいぶんと違って、さっぱりとした柔らかな香りでした。そして多くの人々を魅了してきた伽羅。最初はとてもスパイシーな香りでオリエンタルな印象、時間とともに変化してきて、重厚感とぬくもりのある香りに。どちらも非常に上品で繊細(香りが薄いのとは違います)、意識を集中させないと味わえません。「あぁ、だから心を落ち着かせて、洗練された作法にそって楽しむのか」と納得。香道では香りを「聞く」と表現しています。耳を澄ますように香りを聞く。まさに五感が必要。香りをどう感じるのか「聞く側」の感性によるところが大きいかもしれません。このあとモンナージュスタッフは、伽羅の存在感ある香りが取材を終えた後も強く印象に残り、ずっと香りを味わい続けているような錯覚を覚えました。これが伽羅の魅力なのかもしれません。
香十さんに伺ったところ、仏教の儀式の道具として日本に入ってきた「香」に多くの人々が関心を持ち、室町時代には香道につながる芸道に発展したり、生活に根付いたそうです。生活の中では衣服に焚き染めたり、洗髪の後に香り付けしたりして、心を休めたり、体を癒したり、殺菌や防虫といった使い方もされています。インドを中心として、東には香りが固形の状態で、西には液体の形で広がったそう。香の原料はもともと漢方薬でもあります。効果効能が備わっているものですが、ヨーロッパではその存在が磨かれアロマに代表される医薬品に。日本では情緒的なものとして磨かれ香道の誕生にも繋がります。それは今日の「効き目で選ぶアロマ」と「気分で選ぶ和香」という違いにも影響している様子。
昔、戦場に向かう武士の兜の中では伽羅が焚かれていたとか。伽羅は使う量によって鎮静と高揚という逆の効果があることが現代科学で解明されているのですが、どうやら戦国武士たちはこの効果をTPOに応じて使い分けていたらしい。
|