「中国に行った時のこと。手の動きが鈍くなっていて筋肉が動きづらい状態にあったときに鍼灸の治療を施してもらったのです。たまたま中国語が話せたので、症状を話し・・・ところが、鍼はまさしく脳天をつんざくような痛さ、そしてお灸は肌が燃えているのではないかと思うほどの熱さで、とっても大陸的な治療だったのですが、終わった後には、爽快感さえ漂うほどのスッキリ感で、手も自由に動かせるようになっていました。これはすごい!何でだろうと思いました。先生曰く、悪いから痛いのであって、治れば痛くはない。ごもっともな話なのですが、東洋医学とか経絡に夢中になってしまいますよね。」
中国は現在、西洋医学ブーム真っ盛りではあるが、さすが4000年の歴史が物語る逸話である。
「いわゆる植物療法を学ぶ為、パリに暮らしながら学ぶ4年間がありました。今、思い出しても、いろいろな気持ちが沸き起こりますが、私の会社の名前にもあるようにパリはサンルイ島での異国での経験が、今の礎になっている事は間違いありません。植物生物学フィトテラピー(植物療法)を学びましたが、まずはカルチャーショックからスタートし、それを乗り越え、多くの人に支えられてここまで来ているという感じです。」
パリ。私も経験があるが今だに階級意識が根付く国である。フランス人ではない、というだけで、ましてやフランス語を話さないならなおさら、人間扱いはしない。男性名詞や女性名詞の単語一つ間違えただけでも、深い陰湿なため息が漏れる・・・。それが良い悪いではなく、これからも続くであろう図だ。もっとも若い世代は英語が話せないのは大問題だとばかり、必死になって勉強しているという、どこかの国にもありそうな話も聞くけれど。
「階級とそれが文化の一環である社会の中で、差別と励ましの繰り返し。苦労の甲斐あって、人間関係は何とか楽しく交流できるまでに至りました(笑)。今でもおつきあいがありますよ。しかしながら階級の中で生きる事、日本人としてパリに暮らす事、対日本人とどう向き合うか・・・など、勉強以外で学んだ事のほうがはるかに人生を考えさせられました。」
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本社の製品が並ぶ棚1。サンルイ島の雰囲気が |
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製品が並ぶ棚2 |
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異国の地で、見えないものが見えてくることは往々にしてあるものだ。ましてやパリ、サンルイ島である。歴史と文化を兼ね備えた街に住むからには、それなりの覚悟も必要だったろうし、考えさせられた部分も大きかったに違いない。
森田さんは実は元スチュワーデスである。何故、植物療法を学ぼうと思ったのか。しかもパリで。
「ひどいアトピーだったんですね、私。そして妹も。ひどい時は帽子を深くかぶり、人と目を合わせられない状態でした。挨拶や返事なんかもそれはもう自信なさげに。肌という外側だけではなく"ココロ"という内側もかなりダメージを抱えていたんでしょうね、今、思うと。こんな状態で接客業はしてはいけないのでは、って思ってしまいまして。だって、いくら笑顔で頑張っても、こんな肌状態じゃあ、お客様はおそらく戸惑われるのでは・・・と。西洋医学で治療したわけなんですけれども、その良さも承知の上で、まだきっと道があると思ったのです。そこに植物がいてくれました。そして植物療法を学ぶならばヨーロッパ、パリだと。」
民間療法でハーブやアロマに身近に接してきた西洋の歴史は長い。しかし単なる民間療法ではなくてドクターの管理下のもとで行われていたりするので、日本のようにイメージ優先で科学的根拠が乏しい状況とはかなり異なる現実がある。何しろ日本では薬品や化粧品ではなく"雑貨"扱いであるから、商品のクオリティに関して○○省のお仕事は始まったばかりだし、ドクター達への意識づけという意味でもまさにこれからといったところ。
「ラテンの血って、すごいですよね。つくづく私は日本人だなぁ〜って思うことがたくさんありました。根本に流れる繊細さ、気の使いよう、時々出てしまう島国根性(笑)。そして生まれ育った場所が都会ではなかったので、小さい頃から本当に自然の中に身をおいて育ちました。食べ物においてもそう。植物が身近にあったため、必然的に植物の力をその頃からもらっていたのかもしれません。」
帰国後、有限会社サンルイ・インターナショナルを設立し、アロマテラピー及びフィトテラピーによる研究・開発、企画、講演、プロデュース活動などをおこなう傍ら、植物におけるバイオテクノロジーの研究企画を続け、ついには2003年日本バイオベンチャー大賞 近畿バイオインダストリー振興会議賞を受賞。バイオの世界では植物は注目に値しないとされてきた中での受賞。女性はただ一人。
「植物におけるバイオテクノロジーといっても、だれも見向きもしない世界にあって、これは画期的な事件?!ともいえる出来事でした。でも自分には確信がありました。いずれこんな時代が来るだろうという予感が。だから続けて来れたのです。やっと10年なのか、あっという間の10年なのかはまだ未知数ですが。」
その後、事業はさまざまな人との巡り合わせで、時には予想通りに、時には思わぬ展開に。
「とある授賞式に伺った際に、たまたま森ビルの社長様がいらっしゃって、その出会いがきっかけとなって表参道ヒルズにお店を構える事になったりして。本当に人の出会いや巡り合わせって面白いですよね。これも縁なのでしょうけれど。」
私も人の巡り合いは縁だと思うことが多い。もっと言うなら、巡り合う体質だということだ。そして世の中に敏感でいること。常にアンテナを張っていても、なかなかビビッとくるものは少ない。けれども、少し考えてみる。例えば、最近の女性の選択肢はどうだろう。選択の多様化・複雑化で急激な環境や状況の変化がある。男性社会に飛び込むその苦労は並大抵ではないだろう。昔に比べ、女性らしさを捨ててまで、という風潮はさすがに薄いが、まだまだ女性が担う役割分担は欧米諸国と比較すると、政治や行政、そして男性の意識が現状に追いついていない状況だと思う。何も片意地張るというのではない。男並みという事でもない。もっとも働くならば、男性以上に働いて、やっと人並み位に見られるのが現状だが・・・。男性女性それぞれの役割があって当然。しかし、"女性"という生き物として視点を向けてみた時に、これらの急激な環境の変化に、本能的にバリアを張ってしまいたくなるような現状がある。それが体調不良となり、食生活の変化が体内の変化を助長し、益々「未病のうちに」ケアすることが大切になる時代なのだと思う。仕事で疲れた体をマッサージでほぐし、エステティックで癒され、整体やカイロで矯正してまで、なおもまっしぐらに働こうとする、我慢を強いられる環境は、本来、体に良いわけがない。そこに目覚めている企業は出てきている。森田さんの会社も然り。
「予防が文化になってほしいのです。その手助けが少しでもできれば。」
私もそうだった。連日連夜、朝まで働いて、体を壊してから初めて健康の有難さを感じる。周りの温かさが身にしみる。自分の体調が崩れてから立ち止まる30代・40代は実は多いのではないだろうか。勝ち組とか負け組とか言われるけれど、それは位置確認をしたいだけであって安心と不安は紙一重という心理がそうさせるような気がしてならない。負け組にもいろいろあるが、結婚せず、家族も持たず、という女性がこれだけ多くなった時代は今までにないだろう。自分のポジショニングに呼び名をつけると安堵感がでる。立ち位置がないと不安なのだ。おまけに外見も大事な時代。そして働く女性は何より元気でなければならない。あぁ、大変な時代なのである。
「体調不全を(未病のうちに)抱えながら、徐々に蓄積しながら、ではなく
健全で爽快な体とココロで進むことが重要だと思います。」
その通り。そのための一つの手段として、昔ながらの植物の効用を味方につける。西洋に行くとハーブとかアロマだろうし、東洋に来れば漢方、では日本では?古来の薬草もあるが、森田さん考案の
"羅・漢・和(La-quan-wa)" である。
「日本人に一番しっくりくる、いわゆる"いいとこどり"的な考え方ですが、それぞれの専門から学んだからこそできた、素晴らしい融合だと思います。植物の力を借りて、心身の老化と上手に向き合い特にココロの部分は他人任せにせず、自分でコントロールしていくことが大事です。」
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さてどんな製品があるのかな・・・ |
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モンナージュも提案し続けている。あっちを立てればこっちが立たず、ではなく、良いものと良いものが合わされば、それは相乗効果でさらに良くなるはずである。融合とジャパナライゼーション(日本人に適したものに調整する機能や考え)があれば、きっと素晴らしいモノやコトが生まれるに違いない。何しろ日本人は器用で繊細なのだから。
「単なるマッサージとか、植物って確かに穏やかそうだけど、本当に効き目があるのかしら?と思っている人は要注意です。マイナスのココロでは効果も半減します。日本はあらゆる意味でココロのケアが本当に遅れています。だから、といっては何ですが、"手"の触れ合いよるリラクゼーション効果もトリートメントによる大きな効果のひとつだと思います。幼い頃、身体の痛い部分を擦ってくれた母親の手がいちばんの薬であったように、"手"に勝るトリートメントはありません。
表参道ヒルズにあるle bois (ルボア)は、気・血・水のバランスを重視する中医学の考えに基づき、日本古来の薬草と、西洋で発展ししたハーブを融合させた、オリジナルの"和漢薬トリートメント"を体感できます。経皮吸収という手段を用いて、人体のいちばん大きな器官である皮膚に直接アプローチ。皮膚から吸収されたエッセンシャルオイルの薬理成分は、皮下組織のリンパ液や血液に流れ込み美肌、痩身、便秘解消など、さまざまな体調不良を改善へと導きます。」
手当て、とはよく言ったものである。女性はホルモンに司られているからこそ、信じることも重要、頼る事も大事。肌に触れられ、ココロを開き、堰を切ったように話し出す人もいるという。わかる気がする。
植物の声に耳を傾けてみてはどうだろうか。五感を研ぎ澄ませば、必要なものが見え聞こえて来るはずである。自分の五感で、溢れる情報の中から本物を見極めて選択する。これは直感も相まって、結構女性の得意分野だと思うので、私も含め、頑張ってみたい(あっ頑張っちゃいけない)しなやかに会得してみたいと思っている、今日この頃なのであります。
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