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モンナージュ編集部
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五感を研ぎ澄ませてみよう!
五感を研ぎ澄ませてみよう!
 視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚……人間に備わった「五感」という感覚のうち、私たちが日常生活を送る上で一番頼りにしている感覚は、恐らく視覚ではないでしょうか。しかし、視覚に頼り過ぎるあまり、五感のバランスが崩れて他の感覚が鈍くなり、感じられなくなっていることもあるのかもしれません。
 これからご紹介する3つの展覧会は、いずれもユニークな参加型の展覧会です。暗闇の中を視覚以外の感覚をフル稼働させて歩き回ったり、実際に作品に触れて体感したり、「授業」に参加して、実際に名画の人物になってみたり……? 五感を研ぎ澄ませて、脳に新鮮な刺激を与えてみませんか? これもひとつのアンチエイジング!
赤坂メディアアート展 【ダイアログ・イン・ザ・ダーク 2007 東京】 学校の放課後〜冒険編〜
INFORMATION
赤坂メディアアート展
【ダイアログ・イン・ザ・ダーク 2007 東京】

学校の放課後〜冒険編〜
会期: 2007年9月13日(木)〜12月19日(水)
会場: 旧赤坂小学校(廃校)東京都港区赤坂4丁目1−26
東京メトロ丸の内線・銀座線・半蔵門線「赤坂見附駅」下車 徒歩7分
HP: http://www.dialoginthedark.com/
INFORMATION
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暗闇で、視覚以外の感覚を研ぎ澄ます
「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」

深夜でも街灯やネオン、コンビニなど店舗の明かりが煌々と灯る、眠らない国、日本。夜の航空写真では、明かりによってはっきりと国の形が認識できるほどです。家の中でも常夜灯が灯り、山奥にでも行かない限り、私たちは本当の「暗闇」を知らずに暮らしています。そんな私たちに、一条の光もない真っ暗闇を体験させてくれるのが、「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」というワークショップ形式の展覧会です。

 ダイアログ・イン・ザ・ダークは、1989年にドイツのアンドレアス・ハイネッケ博士の考案で始まったそうです。ハイネッケ博士は、ドイツ南西ラジオに勤務していた時に、事故で失明した若い盲目ジャーナリストの教育係を担当することに。彼に接していくうちに、視覚障害者に対する自分の偏見に気付いたハイネッケ博士は、もっと視覚障害者の文化を知ろうと思い、フランクフルト盲人協会に勤めたそう。そして、そこでダイアログ・イン・ザ・ダークが生まれたとのことです。
 以来、ダイアログ・イン・ザ・ダークはヨーロッパを中心に70都市で開催され、200万人が体験するほどの一大プロジェクトに成長しました。日本でも1999年から毎年開催され、評判が口コミで広がり、約2万人が暗闇を体験しています。このプロジェクトは、視覚障害者の疑似体験ではなく、暗闇の中で対話をしたり、感覚を研ぎ澄ませたりすることで、今まで気づかなかった感覚を発見し楽しむことが目的です。

モンナージュスタッフは、昨年行われた際に、実際に参加してみました。7〜8人で1グループを作り、盲目のアテンド(案内者)1人に導かれて、白杖を片手に、いざ暗闇へ。会場は、周りの人も自分の手すらも見えない、正真正銘の暗闇。アテンドの声を頼りに、白杖で地面をツンツンと突きながら、橋を渡り、落ち葉を踏みしめ、神社のお祭りでヨーヨー釣りやお面に触れ……「ここに木があるよ!」「これはスイカですね!」と報告しあっているうちに、グループに信頼感と一体感が生まれます。暗闇では相手の表情が読み取れず、会話でしか意思を伝えられないため、打ち解けて会話がはずむのです。そして、最後に飲み物を頂くのですが、暗闇の中でグループの仲間と話をしながら頂くジュースやワインは、いつもより豊かな味がします。

暗闇の中では、方向感覚が狂い、時間の観念もなくなる……最初は怖かった暗闇も、慣れると優しく温かみのある空間に変わります。盲目のアテンドは、暗闇の中を迷うことなくスイスイ歩きます。アテンドは常に優しく、参加者を不安がらせないように導いてくれます。アテンドの声に耳を澄ませ、手で木や柵に触れ、杖で地面の状態を確かめながら付いて行くうちに、視覚障害者への偏見が思い上がりだったことに気付かされます。ここでは、日常の「助ける側」と「助けられる側」との立場が逆転するのです。

ルックスやスタイル、ブランドの服や装身具も、暗闇の中では無意味。素のままの人となりをさらけ出すことになります。普段、私たちは人を外見で判断しがちですが、暗闇で相手を判断するのは声と触れ合う肌の温もりのみ。自分がいかに視覚を頼りにして、他の感覚をおろそかにしているかに気付かされることでしょう。

 今年の開催場所は、何と廃校の旧赤坂小学校! 真っ暗闇の廃校を探検するのは、スリリングで魅力的ではありませんか?

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触って、覗いて! 体感する作品「ICCオープン・スペース2007」

次にご紹介するのは、初台のオペラシティタワー4階にある、NTTインターコミュニケーションセンター「ICC」。ICCは、日本の電話事業100周年を記念して、1997年4月にオープンした文化施設です。「コミュニケーション」というテーマを軸に、科学技術と芸術文化の対話を促進することが、ICCのコンセプトです。

ICCオープン・スペースは、ギャラリー、図書室、ミニ・シアター、ラウンジからなる施設。オープン・スペース2007は、「アート&テクノロジーゾーン」「エマージェンシーズ」「研究開発コーナー」「ネットワークゾーン」「アーカイヴゾーン」の6つからなり、実際に触れたりしながら作品や不思議な世界を体感できる、エキサイティングなスペースなのです。

「インタッチ」 「マシュマロスコープ」
2 「インタッチ」
これは、ネットワークゾーンにある「インタッチ」。離れたところにいる人とも、触覚を通してコミュニケーションができる装置とのこと。2つある装置を2人で同時に触ってみると、離れているのに一緒に操作しているような、不思議な感覚が得られます。どんな感覚なのかは、実際に触れて体感してみて下さいね。
 
2 「マシュマロスコープ」
アート&テクノロジーゾーンにある、このマシュマロのような形の白いオブジェは「マシュマロスコープ」。モニター部分をのぞいてみると、モニターの前をリアルタイムで通っている人々が、行きつ戻りつしたり、ゆがんで見えたりします。ヴィデオ・カメラで撮影された映像がコンピュータに貯えられ、操作・変形されるため、そんなふうに見えるそうです。さながら、「ミニ・タイムマシーン」といったところ。家族や友達に、スコープの前でパフォーマンスをしてもらうと、見慣れた人々が、即座に「作品」になっちゃいます。
「ジャグラー」
2 「ジャグラー」
同じく、アート&テクノロジーゾーンにある「ジャグラー」。黒いカーテンで仕切られた小部屋に入ると、少しずつ動きをずらした人形と物体が円筒形にぐるっと並べられた、不思議なオブジェがあります。スイッチが入るとオブジェが回転し、点滅するストロボ・ライトが当たると、ジャグラーが物を空中に放り投げて、本当にジャグリングしているように見えます。立体的なアニメーションみたいな感じでした。
 

他にも、円形に光の当たった床に並べられた円錐状のオブジェを1つ1つ触れると、影(だと思っていたCG)が動き出して、花が咲いたり、カラフルな影になったり、飛行機や魚が出てきたりする「KAGE」や、白地図をペンでなぞることで、実際にその場所で録音された音が聞こえてくる「streetscape」、どこまでも逃げていく捕まえられない蛙「ペガペガ」、鏡に映る自分(!)とホッケーゲームができる「スルー・ザ・ルッキング・グラス」などなど、いずれも体験してみたくなる魅力的な作品が展示されています。

キーワードは「インタラクティブ」。鑑賞者が関わることで、見え方が変化し、反応する作品のことです。作品を「見ている」だけじゃ、つまらない! 子供のように好奇心に胸をふくらませて、実際に、作品に「参加」ができるのです。

INFORMATION
「ICCオープン・スペース2007」
開館期間: 2007年4月19日(木)〜2008年3月9日(日)
会場: NTT インターコミュニケーション・センター [ICC]
開館時間: 午前10時 ─ 午後6時(入館は閉館の30分前まで)
休館日: 月曜日、年末年始(12/8-1/4)
入場無料
HP: http://www.ntticc.or.jp/Exhibition/2007/
Openspace2007/index_j.html
INFORMATION
「私の中のフリーダ (手の形をした耳飾り)」 2001年・カラー写真 作家蔵
2 「私の中のフリーダ
(手の形をした耳飾り)」

2001年・カラー写真
作家蔵
 
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これであなたもモナリザに!? 「森村泰昌−美の教室、静聴せよ」

 次は、横浜美術館にて開催されている「森村泰昌−美の教室、静聴せよ」展。森村泰昌さんは、京都市芸術大学を卒業し、1988年にベネチア・ビエンナーレのアペルト部門に選出され、国内外から熱い注目を浴びている美術家です。自分が女優に扮する「女優シリーズ」、名画に扮する「美術史シリーズ」などを発表し続けています。

この美術展がユニークなのは、「授業参加型の展覧会」だから。美術館に一歩足を踏み入れた人は、みんなモリムラ先生の生徒になります。入口で無料貸し出しの音声ガイドを受け取ると、「ホームルーム」という部屋に入り、学校にあるような木の机と椅子に座って、モリムラ先生から授業(展覧会)について説明を受けます。そして、音声ガイドの電源を入れて、いよいよ「授業」の開始です。

「1時間目:フェルメール・ルーム(絵画の国のアリス)」
「2時間目:ゴッホ・ルーム(釘付き帽子の意味)」
「3時間目:レンブラント・ルーム(負け犬の価値)」
「4時間目:モナリザ・ルーム(モナリザのモナリザの、そのまたモナリザ)」
「5時間目:フリーダ・ルーム(眉とひげ)」
「6時間目:ゴヤ・ルーム(「笑い」を搭載したミサイルの話)」
「放課後:ミシマ・ルーム」

まるで授業の時間割りのような名前がつけられた展示室に入ると、奇妙な感覚にとわられるはずです。目の前にあるのは、フェルメールやゴッホなどの、見たことのある名画のはずなのに、どこか違和感を感じる……それもそのはず、展示してある作品中の人物は、全て森村さんがカツラや衣裳を用意し、メイクをして扮しているのです。1つの絵に複数の人物が登場する場合は、コンピュータ合成しているとのこと。

ゴッホやモナリザ、時には静物(!)にも扮している森村さん。「まなぶ」と「まねる」は、元々語源が同じ「まねぶ」なので、まねることはまなぶことにつながる……森村さんが名画に扮することには、芸術を継承しようとする想いが込められているようです。

「4時間目:モナリザ・ルーム」には、モナリザの顔の部分がくり抜かれたボードがあります。そこから顔を出せば、誰でもモナリザになれるというワケ。ここだけは写真撮影OKですので、ぜひモナリザになってみて下さい。

 授業を全部受け、最後に「放課後:ミシマ・ルーム」で、三島由紀夫に扮した森村さんが、芸術について熱く語るのを聞いたら……なんと修了試験があるのです。解答したら、係員に採点してもらい、修了証がもらえます(修了証が何かは、試験を受けてのお楽しみ)。久々に学生気分を味わうことができ、「美とは何でありうるか」について考える機会を与えられる展覧会です。
「フェルメール研究(3人の位置)」 2005年・カラー写真 国立国際美術館蔵
INFORMATION
「森村泰昌−美の教室、静聴せよ」
会期: 2007年7月17日(火曜)〜9月17日(月曜・祝日)
会場: 横浜美術館
開館時間: 午前10時から午後6時、 金曜は午後8時まで開館(入館は閉館の30分前まで)
休館日: 木曜日
観覧料: 一般 1,100円
HP: http://www.yaf.or.jp/yma/exhibition/2007/
special/02_morimura/
INFORMATION
2 「フェルメール研究(3人の位置)」
2005年・カラー写真
国立国際美術館蔵
 
 
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