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〜水ソムリエに聞いてみました〜
知っているようで知らなかった、水のあれこれ
〜水ソムリエに聞いてみました〜
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知っているようで知らなかった、水のあれこれ
水……それは、生命の源。私たち人間の体の60〜70%を占める、生命維持に欠かせない大切なものです。近年、水道の蛇口に浄水器を取り付けたり、ミネラルウォーターを購入したりと、日本人の水に対する意識は高まっています。でも、成分や飲み方など、水について良く分からないまま飲んでいる方も多いのではないでしょうか? 今回取材をさせて頂いたのは、日本でただ一人の水のソムリエ「アクアソムリエ」でいらっしゃる、株式会社エー・ピー・オーの山中亜希さん。私たちが知っているようで知らない、水についてのあれこれを伺って来ました!
山中亜希さん
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アクアソムリエって、どんなお仕事?

ミネラルウォーターが大人気で、コンビニやスーパーには色々な種類が並んでいる昨今ですが、普段、水の成分などは気にしないで手に取っていることも多いと思います。モンナージュスタッフも水に興味はあるものの、ボトルやラベルに惹かれて買っていることがほとんどでした。そんな時、水のソムリエ「アクアソムリエ」がいらっしゃると知り、さっそく取材を申し込みました!
イタリアで研修し、日本人でただ一人「アクアソムリエ」の称号を持つ山中亜希さん。「実は私、以前は全然水を飲んでいなかったんです」という、意外な告白から取材はスタートしました。

山中亜希さん(以下山中):元々は、輸入食品専門店で働いていたので、食べることや、ワインや紅茶、コーヒーなどを飲むことは好きでした。でも、26歳までは水を全然飲んでいなかったんですよ。食べることが好きでこの業界に入り、そもそもイタリアに行ったのも食材輸入が目的で水とは無関係でした。イタリアは日本と違って水道水が飲めず、飲み物といえば水か甘いジュースしかなかったので、購入した水を飲むようになりました。一旦飲み始めてみたら、便秘もしなくなり、肌の調子も良くなって、次第に水を美味しいと感じるようになりました。

アクアソムリエって、どんなお仕事?

モンナージュ編集部:アクアソムリエになったきっかけは、何ですか?

山中:一旦帰国して、イタリア食材の輸入会社で研修していたとき、イタリア食材の市場は飽和状態だと気づきました。そんな時、イタリアの友人経由で「日本のアクアストアの立ち上げをしているから来ないか?」と誘われたのが最初のきっかけで、イタリアで水の勉強をし、アクアソムリエの資格を取得しました。当時、水はまだ未開拓の分野で、最初は躊躇したのですが……意識して水を飲み始めたら、効果テキメンだった自分の経験が「水」への興味を高めました。それまで水を飲んでいなかったから、体調が変わるのが分かりやすかったんですね。

モンナージュ編集部:飲んでいなかった水を摂るようになって、体の中から変化したんですね。

山中:ええ! 飲み始めてから3年間風邪もひきませんでしたし、周りの人に「肌が綺麗になったね」って言われるくらい、肌のキメが整って来て。水を飲み続けることで体調が良くなり、だんだん水を飲むことが面白くなりました。最初は普通の日本の水が嫌いでしたが、飲みやすい軟水を発見したことで、水にのめり込んで行きました。海外の水って、硬水だけでなく、軟水にも味があり、それぞれ味が違うんですよ。

アクアソムリエって、どんなお仕事?

山中さんのお肌は白くてきめの細かいもち肌で、ついつい目が引き寄せられてしまいます。水を飲むことで体調や肌の調子がそんなに変わるなんて、水の持つ浄化作用はすごい!
 ソムリエと言えばワインのテイスティングを想像しますが、アクアソムリエも水のテイスティングをして、源泉地や銘柄を当てる研修があるのでしょうか?

山中:味当ては一切しないんです。よく「水利きをやって下さい」って言われるんですが、そういう研修は受けません。成分の違いを理解して、お客様に合う水を提案したり、お料理に合う水をお勧めしたりするのが、アクアソムリエのお仕事なんです。

モンナージュ編集部:アクアソムリエとして、現在どのような活動をなさっていますか?

山中:ホテルやレストランで水について説明したりアドバイスしたりする、コンサルティング業務がメインですね。現在、アクアソムリエ協会を立ち上げようとしているのですが、協会ができれば一般の方を対象に、地層の話から始まる水の勉強会をしたいと思っています。世界における水の現状もお伝えしたい。楽しく水を飲む方法もお伝えしたいですね。水を変えるだけで紅茶の味が変わるんですよ。以前の私のように水を全然飲んでいない人にも飲める水があると思うので、色々試して頂きたいですね。

欧米と日本の水事情の違い
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欧米と日本の水事情の違い

 山中さんがアクアソムリエになった経緯を、モンナージュスタッフは興味深く伺いました。では、日本における水事情や、欧米と日本の水の成分の違いなどを、続けて伺ってみましょう。日本は水が豊かな国で、水に触れている歴史が長い割には、あまり水を大事にせず「あって当たり前」という感覚があります。一方、ヨーロッパでは高い水を買って飲みますが、水への意識の違いはあるのでしょうか。

山中:元々日本は水資源が豊かで、意識もせず水を飲めたことは本当に幸せなことですが、豊か過ぎたため「守らなくても平気」という意識が芽生えたのかもしれません。一方、ヨーロッパでは河川の水でコレラやペストが流行したので、「地下水を大事にしなければ」という意識があり、水資源を守って来ました。

 なるほど……ヨーロッパの水への意識が高い理由が分かりました。幸いにも日本は水に恵まれていますが、水は大切にしたいものですね。
 ヨーロッパと日本では、水への意識も違えば、飲み方も違うのではないかと思います。日本人はご飯や煮物などの食べ物からも水分を摂っていますよね。よく「水は1日2リットル飲んでいます」というモデルさんがいらっしゃいますが、実はその2リットルとは地中海性気候を基準にした量。それを日本人がマネして、毎日2リットル飲むことが良いかどうか、というバランスの問題があると思いますが……。

欧米と日本の水事情の違い

山中:人間は1日に2.5リットルの水分を排出しています。300ミリリットルは代謝水ですので、残りの2.2リットルを食事と併せて飲めばいいのです。従来の日本人らしい食生活をしている方は、食事で1リットルくらい水分が摂れているので、残りの1.2〜1.5リットルの水を飲めば良いでしょう。しかし、日本人の食生活はかなり欧米化して来ていますよね。お米には約60%、肉・魚には約70〜80%の水分が含まれていますが、パスタでは30%になってしまいます。

モンナージュ編集部:パンなどの小麦粉製品も、水分含有量は低いですよね。

山中:そうですね。ですので、食品に合わせて水分量を調節しなければいけません。またミネラルに関しても、欧米化した食生活では海草類や野菜類があまり摂れず、ミネラル摂取量が偏ってしまうので、サプリメントで補った方がいいということになります。あくまでバランスの問題ですね。

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水の種類―硬水と軟水の違いって?。

 水を買う際に、ラベルに「軟水」「硬水」と表示してあるのを見かけると思います。漠然と「硬水=苦い」「軟水=甘い」というイメージを持っていたモンナージュスタッフ。硬水、軟水、そして鉱泉水の違いとは何か、山中さんに伺ってみました。

水の種類
水の種類
水の種類

山中:軟水は一般的にはクセがないものとされている一方で、硬水にはやや苦味があります。硬水、軟水の違いは、「硬度」で決められています。硬度は「カルシウム×2.5+マグネシウム×4.1」という計算式を基に炭酸カルシウムの量で計算され、日本では100までを軟水、100〜300までを中軟水、300以上を硬水と呼んでいます。カルシウムとマグネシウムの含有量が少ない水が軟水で、日本の水はほとんどが軟水です。それと、鉱泉水はミネラルウォーターと訳されることが多く、軟水も硬水も含んでいます。地下水の中でも水温が高いものは温泉水、水温が低いものは鉱泉水と呼ばれています。

モンナージュ編集部:日本の水が軟水なのは、何故でしょうか?

山中:雨や雪が降って地層に染み込み、それが岩石を通る間にミネラルを吸収するのですが、日本は割と急流で、ミネラルがあまり染み込まないまま水が出て来るため、軟水が多いのです。岩石の種類によっても水の成分が違って来ます。日本の地層で多く見られる花崗岩はミネラル含有量が少ないため、自然と軟水になるわけです。ただ、沖縄は地層が珊瑚礁でできているので、ミネラルを吸収して中硬水になります。ヨーロッパでは石灰岩などが多いので、水に含まれるカルシウム量が多くなるそうです。ドイツなどでは、一万年という永い年月を経て硬水になる水もあるので、年月も関係してきますね。

モンナージュ編集部:ヨーロッパでは硬水が多いのでしょうか。

山中:中硬水が一番多いですね。でも、ヨーロッパでは日本と基準が違い、カルシウムとマグネシウムだけでなく、ナトリウムやカリウムなども含めたトータルのミネラル含有量で計算しているんですよ。アメリカではTDS(ミネラル総溶解分)で計算しています。

モンナージュ編集部:何故日本は、カルシウムとマグネシウムに特化して水を区分するのでしょうか?

山中:元々、石鹸が溶けやすさを基準にして作られた「硬度」がそのまま飲み水に適用されたようです。飲み水に特化した表示基準は国内ではまだありません。

 「硬度」を使用しているのが日本だけだったなんて、意外でした。しかし最近、酸素水やナノクラスター化した水、プラチナを加えた水など、様々な「機能水」が出回っており、もはや硬水や軟水というカテゴリーだけでは水をくくれなくなっているようです。ヨーロッパでは、フレバード・ウォーターという味のついた水が流行っているとのこと。そういえば、レモンやライムなどの味が付いた炭酸水が、日本では良く売れているようです。炭酸水には、何か体に良い働きがあるのでしょうか。

山中:炭酸水には、消化を助け、血行を良くする働きがあります。炭酸水は二酸化炭素なので、飲むと血液が酸素を欲しがり、その結果血行が良くなるというワケです。それと、乳酸を排出する働きがあるので、筋肉疲労の方の疲労回復にも良いですね。飲酒運転の罰則が強化されたので、お酒代わりに飲む方もいらっしゃるようです。ビール代わりに炭酸水を飲んで、ダイエットをなさる方もいらっしゃいます。ただ、潰瘍のある方は避けた方がいいでしょう。

モンナージュ編集部:販売している水には、賞味期限はあるのですか?

山中:ええ、輸入された水も日本の水も、蓋の部分などに記載してあります。ペットボトルに入っている水だと、ペットボトルの成分が溶け出したりしますので、賞味期限は1〜2年位で設定してあり、瓶のものだともう少し長いです。ただ日本の水は軟水で、微生物が好む鉱物が少ないので、保存には適しているそうです。

アクアストア
 
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水を取り巻く環境

水を考える際に、水源地周辺の環境問題も気になります。ヨーロッパは水源地周辺の環境への意識も高く、基準も厳しいようですが、日本はどうなんでしょうか。

山中:ヨーロッパでは、水の成分が変わらないことが水源地に求められる条件なので、水源地を守ろうという意識は高いと思います。例えば、現在ドイツでは、硝酸イオン、塩化物イオンの量で水を判断しています。それらの含有量が多いと、水が汚染されている確率が高いからです。日本でも「○mg以下」と基準が決まっていますが、逆にそれ以下だったら何mgでも入っていてもいいという解釈もできてしまう。ここは早く法整備をしてもらいたい点ですね。

モンナージュ編集部:食品と違って、含有物は味覚で確認することができないので、難しいですね。

水を取り巻く環境

山中:そうですね。それと、日本は水道水の残留塩素の値が高いようなので気になります。水道水の含有塩素は0.1 ppm以上と決められていますが、浄水場に近い場所だと0.5 ppm以上になる場合も見受けられます。塩素は肌に悪影響があるとされており、現在、乳児の3割以上がアトピーであることとは無縁ではないかもしれません。もちろん、塩素のおかげで雑菌などが消毒されているので、一概に塩素の働きが悪いとは言えないのですが、やはり浄水器は付けた方がいいと思います。ただ、浄水した水は生水になり、殺菌作用がなくなりますので、すぐ飲まなければいけません。

水を巡る日本の環境が、少し見えて来ました。どうやら、水源地近辺の環境や水質に関して、日本人はやや疎いようです。水の豊かな日本に住んでいるとはいえ、水資源は大切にしたいもの。何か、私たち個人でできることはあるのでしょうか?

山中:今後、地球温暖化に伴って水不足になり、今後世界各地で水を取り合っての戦争も起こりえるのです。日本は幸いにも水資源が豊かですが、今後水資源を守っていくために、下水も気に留めて頂きたいのです。例えば、お醤油を下水に捨てるだけで、それを薄めるのに300mlの風呂桶で約1.5杯、おみそ汁だと5杯分くらいの水を必要とするんです。お皿に残ったお醤油や油は、ティッシュなどで拭き取ってから捨てる。極力、水を汚さないようにして頂きたいですね。

モンナージュ編集部:自分でもできる最小限のことからやっていかなければいけませんね。

自分に合った水とは?
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自分に合った水とは?

水について色々伺って来ましたが、普段生活していると、ついつい甘いジュースやコーヒーなどを飲んでしまいがち。やはり、純粋に水を飲んだ方が体にいいのでしょうか。ジュースやコーヒーで、一日の水分量を摂ることはNGなのでしょうか?

山中:ジュースやコーヒーは論外ですね(笑)。ジュースには大量の砂糖が含まれています。コーヒーにはカフェインが含まれており、体が必要とする以上に水分が排出されてしまうこともあります。水の場合は摂取した量の40%が吸収されるのですが、1リットル飲んでも1.5リットルの水分が排出されてしまうのです。緑茶にはカフェインが入っていますし、ニュートラルなのは、やはり水ですね。

モンナージュ編集部:お酒を飲む場合も、水を摂った方がいいのでしょうか。

山中:お酒を飲んだ後に慌てて水を飲むより、お酒と一緒に水を飲んだ方が、二日酔いしにくくなります。ワインを飲む時は特に、水を一緒に飲んでみることをおすすめします。

モンナージュ編集部:一日の中で、水を飲むべき時間帯はありますか?

自分に合った水とは?
 

山中:朝は何かを食べる前に、必ずコップ1杯の水を飲んでみて下さい。朝の水は、他の時間の水よりも数倍体に良いんです。寝ている間も発汗でコップ2杯分くらいの水分が失われており、血液が濃縮されるため、血液系の病気はほとんど明け方に起きます。ですので、就寝前も水を飲むのがベストですが、トイレが気になる方は就寝の1時間前くらいに水分補給を。人間の体は30分で200ミリリットルしか水分を吸収できないので、30分おきくらいに1日7〜8回コップ1杯の水を飲むといいと思います。

水道水をそのまま飲む人が少なくなっていくようですが、これからの日本人の水との付き合い方に関して、アドバイスを頂きましょう。

山中:水は毎日飲んでいて、私たちが一生付き合っていくものですから、毎日飲める自分に一番合った水を、いち早く見付けて頂きたいです。同時に、できる範囲で結構ですので、水を取り巻く環境問題にも関心を持って頂きたいですね。

 自然、環境、人間の体……水は、色々なこととリンクしている重要な要素なのだと、再認識しました。さっそくアクアストアで自分に合う水を探して、毎日意識して水を飲み、自分の身体を内側から綺麗にしてみませんか? 環境を綺麗にすることも、同時に考えながら……。

 

 取材にご協力頂きました
山中亜希さんと アクアストア
住所: 106-0031 東京都港区西麻布4-10-1 MFビル1F
電話: 03-5466-0080
営業時間: 11:00〜19:00 月曜日定休
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