東山魁夷(ひがしやまかいい)は、独特の自然感で、スケールの大きな風景を額縁の中いっぱいに描いていくタイプの画家。日本画と呼ばれていますが、私たちがパッとイメージする日本画とはやや様子が違い、モダンな雰囲気をまとった作品をたくさん残しています。幾重にも重なる深い木々、水面に映りこむ風景、月や太陽からのあわい発光などを見ていると、何だかグラフィカルにさえ思えてしまいます。でもしっかり筆で描かれています。いつ見ても新しさを感じさせてくれる、魅力的な作品が集結しています。
中でも注目したいのは、2階フロアに展示されている唐招提寺のふすま絵。今回特別に展示されています。1つの風景が何枚ものふすまに渡って描かれており、そのスケールの大きさに前に立つと東山魁夷が描いた自然の中に包まれたような感覚を覚えるはず。この展覧会では、それぞれの作品が比較的至近距離で鑑賞できる会場レイアウトになっています。じっくりと筆運びを眺められるチャンスかも。 |