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メッセンジャー
執筆者:モンナージュ編集部
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作品も、カフェも、お散歩も楽しんで
五感を研ぎ澄ませよう!〜この春行きたいミュージアム〜
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五感を研ぎ澄ませよう!〜この春行きたいミュージアム〜

 少しずつ暖かい日が増えてきて、洋服もココロも身軽になってきました。屋外でグッと体を伸ばすと、気持ち良さが全身に漂っていくはず。さてと、そろそろ五感でも磨きましょうか...ということで、恒例の美術館特集です。今回は展示内容もさることながら、建物やロケーションそのものが魅力的で、カフェもあって、美術館をまるごと楽しめるスポットをご紹介いたしますので、冬の出不精から脱出してみてください。モンナージュスタッフおすすめですからっ!

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原美術館(品川区北品川)
『ジム ランビー:アンノウン プレジャーズ』 2009年5月10日(日)まで

原美術館での展示風景(C)Jim Lambie、原美術館
2 原美術館での展示風景(C)Jim Lambie、原美術館  
 
こんな美術館
品川駅から御殿山へのゆるやかな坂をのぼって、北品川の閑静な住宅街エリアに入ると、ひときわ大きな敷地の建物があります。白く長い壁と木々に囲まれたクラシカルモダンな建物が原美術館。実業家の原邦造氏の邸宅が私設美術館となっています。敷地内に一歩はいると、すっかり異空間。落ち着いた雰囲気の前庭、ゆったりとしたエントランス、優雅な曲線の建物、やわらかな静けさ。館内では大きな窓から自然の光がたっぷりと射し込んでいます。ホントにこれが都内なのか...。「ハラビ(=原美術館)の包容力」と呼びたくなるような心地良いロケーションで、時間の流れ方がここだけは違うように感じます。駅から徒歩14〜15分程度なので人によっては遠いと感じるでしょうが、その時間をかけて訪れるだけの価値がある美術館です。とっておきの場所にしたくなるはず。
展示内容 『ジム ランビー:アンノウン プレジャーズ』

優雅な外観の美術館は中もたっぷりと優雅です。高い天井、寄せ木で作られたフローリング、螺旋階段、重厚な手すり。この建物の中をめいいっぱい使って、ジムランビー氏の作品が展示されています。白と黒の波紋が建物の床全体にテーピングされ(圧倒されます)、そこに刺さるかのように立方体のコンクリートが点在。積み上げられたカラフルな椅子には鏡を貼り付けたバッグがかけられ、展示されているドアの先は閉じられ...。空間アート(インスタレーション)なので、文字で表現すると意味不明かもしれませんが、床面の白黒パターンの影響か(これも作品のひとつ)、立体作品からの刺激か、なんとなく空間と自分が一体化してくるような感覚を受けました。その空間にふわっと吸収されているような感覚。それがちょっと気持ちいい。作品の画像を見るとポップな印象がありますが、実際には落ち着いた大人な空間って感じでした。
※原美術館には常設のインスタレーションがあり、ジムランビー氏の作品と混ざるように展示されています。階段を一番上までのぼった小部屋や、階段ワキの空間、展示室の先にあるドアの奥などもチェックしてみてください。

 
「I Didn't know I Loved You Til' I Saw You Rock ‘n' Roll」2008年、マットレス、油性ペンキ(C)Jim Lambie、原美術館
「トレイン イン ヴェイン」2008年、椅子、ハンドバッグ、鏡、油性ペンキ (C)Jim Lambie、原美術館
2 「トレイン イン ヴェイン」2008年、椅子、ハンドバッグ、鏡、油性ペンキ (C)Jim Lambie、原美術館
   
arrow 「I Didn't know I Loved You Til' I Saw You Rock ‘n' Roll」2008年、マットレス、油性ペンキ(C)Jim Lambie、原美術館
原美術館での展示風景(C)Jim Lambie、原美術館
併設カフェ 『カフェ ダール』

原美術館の中庭を囲むようにあるカフェです。ここも静かな空間。椅子に座って中庭を見ると妙に落ち着ちつくのですが、壁や展示されている屋外作品の高さが座ったときの目線に合っているからかもしれません。スイーツは種類は多くないものの、上品な味でおいしいです。「イメージケーキ」は開催中の展覧会に合わせて作られた原美術館ならではのメニュー。(でも私はいつもブラウニー&アイスを食べてしまう...)。しっかりとした食事もでき、グラスワインも用意されています。気分のいい大人向きなカフェ。お茶したあとはぜひ中庭に出てみて。 ※原美術館入館者のみ利用可能のカフェです。

インフォメーション 原美術館
東京都品川区北品川4-7-25
TEL:03-3445-0651
11時〜17時(祝日を除く水曜日は20時まで)、入館は閉館30分前まで
月曜(祝日の場合は開館し翌日休館、ただし2009年5月5日は開館)、5月7日、展示替え期間、年末年始は休館
http://www.haramuseum.or.jp/
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東京都庭園美術館
『ポワレとフォルチュニィ 〜20世紀モードを変えた男たち〜』 2009年3月31日(火)まで

(左)ポール・ポワレ《イヴニング・ドレス》1913年、(右)マリアノ・フォルチュニィ《「デルフォス」ドレス》1910年代・藤田真理子氏蔵・東京都庭園美術館内にて撮影
こんな美術館

目黒駅から徒歩5〜6分のところにある国立科学博物館附属自然教育園の隣にあって、まるで森の中にあるかのような美術館。旧朝香宮邸として建てられ、国賓公賓の迎賓館にも使われていたアール・デコの建物がそのまま美術館となっています。東京都の有形文化財。当時の建設技術の知恵とセンスが凝縮されていて、その美意識と優雅さがたっぷりと味わえます。上品で繊細でスゴイです。というか、これだけの文化財が身近に見られることができるのがスゴイ。内装は画家でもあるインテリアデザイナーのアンリ・ラパン、シャンデリアなどのガラス装飾は、世界的に有名なルネ・ラリックによるもの。美術館の広大な敷地には日本庭園、西洋庭園、芝生広場があり、自由に過ごすことが可能。美術館で作品を堪能したあとに、お庭の花々を見たり、原っぱに座ってのんびりするのも贅沢な気分になれます。

2 (左)ポール・ポワレ《イヴニング・ドレス》1913年、(右)マリアノ・フォルチュニィ《「デルフォス」ドレス》1910年代・藤田真理子氏蔵・東京都庭園美術館内にて撮影
(左)ポール・ポワレ《イヴニング・ドレス》1913年、(右)マリアノ・フォルチュニィ《「デルフォス」ドレス》1910年代・藤田真理子氏蔵・東京都庭園美術館内にて撮影
2 マリアノ・フォルチュニィ《「デルフォス」ドレス》1920年代・藤田真理子氏蔵・東京都庭園美術館内にて撮影  
 
展示内容 『ポワレとフォルチュニィ 〜20世紀モードを変えた男たち〜』

アール・デコな建物の中を存分に使って、20世紀初頭を代表するモード界の巨人ポール・ポワレと、20世紀最高のテキスタイルデザイナーといわれるマリアノ・フォルチュニィのドレスが展示されています。この時期のパリは、それまで女性が身につけていたコルセットが無くなり、デザインに自由さと大胆さが訪れたらしい。その頃のクラシカルなドレスが数多く展示されているのですが、100年ほど前のドレスなのに今着ても通用しそうな、時代を感じさせないデザインが多く「流行って巡っているんだなぁ」と感心させられました。ドレスそのものもさることながら、ドレスと美術館内装の相性の良さや、BGMに流されているクラシック音楽が非常にマッチしていて、その時代にトリップしたような面白さがあります。目と耳と、まさに五感で楽しめる展示です。庭園美術館はいつもユニークなドレスコード割引を用意していて、今回はポケットチーフをのぞかせていくと入館料が100円割引になります(男性・女性ともに)。オシャレな女性がいるところにはオシャレな男性がいるだろうと。東京都もユニークなことやるなぁ〜。

(左)ポール・ポワレ《イヴニング・ドレス》1913年、(右)マリアノ・フォルチュニィ《「デルフォス」ドレス》1910年代・藤田真理子氏蔵・東京都庭園美術館内にて撮影
併設カフェ 『cafe 茶洒 kanetanaka』

庭園美術館正門横、目黒通り沿いにある開放的なカフェです。料亭「金田中」がプロデュースしていて、和スイーツやフルーツを使ったデザートメニューが充実。この時期は「桜あん汁粉」が季節的にマッチしているかも。ランチはご飯&麺類をメインにしたセットメニューあり。通り沿いにあるので美術館入館者以外も利用できます。料亭だけあって、味もなかなか、かわいらしい器や盛りつけも楽しめます。テラス席があるのでそちらに座りたくなる衝動に駆られますが、インテリアに凝った店内の席も居心地良いです。

インフォメーション 東京都庭園美術館
東京都港区白金台5-21-9
TEL:03-3443-0201
10時〜18時、第2・第4水曜日休館
※カフェは美術館休館日も営業
http://www.teien-art-museum.ne.jp/

【チケットプレゼント】
東京都庭園美術館さんより『ポワレとフォルチュニィ展』の招待券をご提供いただきました。抽選で5組10名様にプレゼントいたします。応募締切は2009年3月18日23時まで。名前とメールアドレスを明記のうえ、こちらのフォームよりご応募ください。当選された方にはメールで送り先を伺ったあとに速達でお送りいたします。
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ベルナール・ビュフェ美術館
『没後10年 ベルナール・ビュフェ展 〜作家自身によるキュレイションを再現〜』
2009年3月12日(木)〜7月14日(火)まで

原美術館での展示風景(C)Jim Lambie、原美術館
2 「二つのテーブルの静物」1950年(C)Musee Bernard Buffet  
 
こんな美術館
この美術館は静岡県にあります。東海道新幹線の三島駅から美術館のシャトルバスに乗って、駿河平の別荘地の中を抜けると、『クレマチスの丘』という広大なガーデンエリア(自然公園&文化地区)があります。その中にあるのがフランス人画家ベルナール・ビュフェ美術館で、日本人収集家が集めたコレクション2,000点を所蔵しています。この美術館、とてもロケーションがいいです。ビュフェのタッチに合わせてデザインされた建物は、自然の光がふんだんに入る吹き抜けの回廊スペースなど贅沢な造りで、都内では考えられない広さです。周囲には複数の美術館や白いクレマチスをメインとしたガーデン(ほぼ1年を通して花がある!)、吊り橋のある自然公園などがあり、どれも手入れが行き届いている印象。のんびり1日過ごすのも気持ちいい、大人向きな美術館&周辺環境です。
展示内容 『没後10年 ベルナール・ビュフェ展 〜作家自身によるキュレイションを再現〜』

ビュフェの絵の特長は、黒々と存在感のあるライン、その黒を引き立てるような彩色、シンプルな構図で、どちらかというと力強く、印象に残りやすい感じ。本人のサインが作品に合わせて真ん中にあったり、ドーンと大きかったりしていて、デザイナー的な感性も見え隠れしてます。それらの作品に対して日本人ファンの中には「洒落ててカッコイイ」と感じる人も多い様子(余談ですが、ビュフェの若かりし頃は俳優並にハンサムでカッコイイです)。ビュフェの作品だけを集めた美術館なので常設展では比較的定番の作品が鑑賞できますが、3月12日から没後10年の企画展も開催されるとのこと(記事掲載後のスタートなのでまだ観ていません...)。1996年にビュフェが来館した際に本人が企画・セレクトした(=キュレイション)作品約100点を再び展示するというもので、通常は美術館側で展示作品や並び順を決めるのが一般的な流れですが、本人セレクトとなると強烈な個性と思い入れが露出して、ユニークな展示になることが多いようです。

 
「赤い花」1964年(C)Musee Bernard Buffet
2 「赤い花」1964年(C)Musee Bernard Buffet
 
「ピエロ」1961年(C)Musee Bernard Buffet
2 「ピエロ」1961年(C)Musee Bernard Buffet
原美術館での展示風景(C)Jim Lambie、原美術館
併設カフェ 『オーガニック・ビュフェ』

広尾アクアパッツァの日高良実シェフプロデュースのオーガニックレストラン。美術館の建物に併設されていて、大きなガラスの窓が目印です。近隣の農家が栽培する無農薬野菜を使ったメニューで、ご飯物は雑穀を使っていたりとスローフード系。果物がふんだんに使われたスイーツが充実していて、企画展に合わせたスイーツも登場したりします。オーガニックメニューも魅力的ですが、店内からのこの景色も魅力的。テラス席もあります。新緑の頃に行くと、森林浴している気分いっぱいで幸せになれます。

インフォメーション ベルナール・ビュフェ美術館
静岡県長泉町クレマチスの丘(スルガ平)515-57
TEL:055-986-1300
2〜3月10:00〜17:00、4〜8月10:00〜18:00、水曜休館
http://www.buffet-museum.jp/
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