「身土不二」という言葉がありますが、これは地元の旬の食品や伝統食を食べることが、身体に良いとする考え方です。そうすると、お米を炊いたごはんは、日本人にとって一番体に合う主食ということになります。でも、具体的にどう日本人の体に合っているのでしょうか。
福田:「日本人がお米を主食にして来たことには、日本人の体質が関係しています。欧米人と比べて日本人は、唾液の分泌量が少ないそうです。そのため、日本人がパンを食べると口の中がパサパサしてしまうのですが、ごはんは元々水分を含んでおり、口に入った時に心地よく食べやすいので、日本人は好んで食べて来たのでしょう。一方で、ごはん食に合わせて日本人の体の方が変わったという考え方もあるようです。ずっと食べられて来ているため、日本人の体に合う相性のいい食べ物がお米というわけです」
日本人の唾液の分泌量が欧米人と比較して少ないとは、初耳。 なるほど、ごはんが主食として愛されて来た理由が分かりました。長く日本人の食生活を支えてきたごはんですが、栄養学的にはどのような特長があるのでしょうか。
福田:「ここ一番!という仕事の時や、長い会議の前などは、パンよりもごはんを食べた方が腹持ちが良く、集中できますよね。それは、ごはんの炭水化物が体内で消化されると、ブドウ糖が作られるからです。脳のエネルギー源になるのは、ブドウ糖だけ。朝にごはんを食べると、それがすぐブドウ糖になり、仕事や勉強に集中できるんです。
また、お茶碗1杯分のごはんには、セロリ30g(1/3本)分と同じ量の食物繊維が含まれており、糖尿病や高血圧などの生活習慣病の予防にも効果があります。ごはんと納豆などの大豆製品を一緒に食べると、必須アミノ酸を補い合って、たんぱく価を高める効果もあるんですよ」
ごはんに食物繊維が含まれるとは、意外でした。それに、「ごはん、味噌汁、納豆」の組み合わせは、「食べたとき味のバランスが良い」というだけじゃなく、成分的にも非常に理に叶っていたのですね! |