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まるでフランスのマルシェ (市場) ?! 表参道駅から様々なブランドショップを横目に歩いていくと、国連大学広場にカイトのようなテントが並び、その下にはさまざまな食材を並べた店舗群が...。木枠の入れ物に野菜や果物がゴロゴロと並べられていて、あまり日本っぽくない雰囲気。「お国のお仕事だから、地味なのかな〜」なんて想像していたのですが、ところがどっこい、視覚的にとても興味をそそられる市場が広がっていました。 この日に行ったFarmer's Market@UNU(国連大学前で開催しているマルシェ・ジャポン。Farmer's Market@UNUはこの場所での名前)では、30店ほどのお店が並んでいました。いろとりどりの野菜、ちょっと珍しい伝統野菜、旬の果物、花や観葉植物、手作りジャム、絞りたてを瓶詰めしたジュース、穀類、食にまつわる本などなど。それらの食材を売っているのは、主に生産者の方々だそうです。 無造作な感じがありつつも大切に並べられていて、自分と食材との距離を不思議と近くに感じました。なによりココロを刺激されるのは、食材たちのおいしそうなビジュアル。形が不揃いなのはご愛嬌、どれも元気そうで「おいしいよ、栄養あるよ」とアピールしてるかのようで、普段スーパーに並ぶパックされた食材に見慣れていると、鮮やかだったり、くすんでいない食材の「色」「つや」「ハリ」に刺激を受けまくり。鮮度を感じるのです。あぁ、桃が、ブドウが、トマトが、キャベツがまぶしい〜。人間っておいしいもの、体の役に立つものを見極めるには、こういう感覚を活かすものなのかもしれません。 基本的に裸のままで売られているものが多かったです。ビニールに入れられた食材もあったのですが、葉物だったり、じゃがいものように土がついたものや、数本数個まとめ売りのもので、どれも食材が呼吸できるようにビニールの口が開いたままか、空気穴がついているものばかり。ピタッとくるんでしまうラップではありません。Farmer's Market@UNUで売られていた食材にはこだわりあるものが多く、有機栽培だったり、農薬不使用だったり。生産者の方々がそうやって収穫した食材は、作り手と買い手の間で、ごくごくナチュラルな存在感で店頭に並べられていました。野菜や果物が呼吸ができるようにする、食材の様子がわかるようにする。これって、約30年前ならばどこの商店街でも見られた風景なように感じる。お店ごとに買い物するからちょっと効率悪いけど、売る側も買う側もいい食材を普通に見極められる、手にとって確かめられない売り方はしない...みたいな。 生産者の方と話ができることの貴重さ Farmer's Market@UNUの面白さは、単においしそうな食材が集まっていることではなく、生産者の方と会話できることもそのひとつのように感じました。あえて難しい話をするでもなく「あ、このおじさんが収穫したのか〜」と思いながら眺めていると、「プラムの皮についている白い部分は栄養だからそのまま食べて」「生の落花生は茹でて食べるとごちそうだよ」「これは昨日の夕方に収穫して、そのまま運んできたんです」なんて情報がどんどん飛び込んでくる。そんな話を聞かされると、不思議と購買欲が強まってしまう。おいしいものをおいしく食べたいという素直すぎる欲求に、ついつい財布のひもも緩くなりがちに...。せっかくのチャンスなので、生産者に栽培方法などを聞いてみるのも有意義です。それぞれ切磋琢磨しながら作った作物なので熱い思いも聞けるし、思いのほか「ホンネ」も聞けたりします。Farmer's Market@UNUに出店している方々に若手が多く目立ちました。モンナージュ世代と世代が近いせいか話がしやすいし、視点も面白く興味深い。 全国の開催場所によって扱う品目や雰囲気が違うそうです。Farmer's Market@UNUは基本的には毎週土日開催されていて(2010年の3月まで)、季節ごと、収穫時期によって出店する生産者が入れ替わったりするものの、旬のもの、収穫から時間が経っていないものが並ぶのは毎回同様らしい。今回は青山・国連大学前しかチェックしていないのですが、価格は「思ったほど高くないかも...」でした。もちろん安売り店での激安価格ではないし、畑の中の無人販売所のようにワンコインで買えるわけでもない。食材の「イキ」が自分の目で確認できて、生産者の方々の顔が見られて、鮮度や作り方にこだわりがあるものが、産地に行かずとも手に入ることを考えれば、適正価格のように感じました。 いろんなお店をのぞいては、さまざまな食材を目にしているのが楽しく、ついつい手が伸びてしまう魅力的な食材の宝庫でした。人通りの多い、いわゆる都会的な場所でこんな試みがあるのって面白い。ファッションやカルチャーの中にポンと「おしゃれな直売所」が出現するのは、いつもの買い物とは違う新鮮さや楽しさがありました。生産者の方々も笑顔で楽しそうだった。Farmer's Market@UNUでは、有機栽培や無農薬の食材を多く取り扱っていましたが、そのあたりを妙に押しつけることもなく、ごくごく素直に「食」への興味を高めてくれるものでした。 いろいろ買ってしまいました〜。足長ブロッコリー、ブルーペリー、完熟プラム、リンゴジャムとバジルソース、モロヘイヤ、土付き落花生。実はプラムはもうひとつ買っていて、マルシェ会場をぶらつきながら食べてしまいました...。どれも味がいい。ホントにいい。 お店の兄ちゃんが「ぜひ茹で落花生に」というので、ならば茹でてみようと。生の落花生は、重量感があって、殻にハリがある。殻の中で実がコロコロとしているが、乾燥させたり炒ってあるものとは明らかに違うコロコロ感。まだ土ついてます。 海の水ほどの塩水を作っても殻ごと40分ほど茹でました。適度な塩加減が、落花生の実そのものの甘さを引き出してくれてました。歯ごたえもいい。というか、食べ始めたら止められないです。殻を剥くのに疲れてきて、やっと喰い止めでした。
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