若い時と食べてる量は一緒なのに…
このタイトルと同じことを感じている人は、実は多いのではないでしょうか? 昔と食べる量は変わらないのに、むしろ減っていると思えるのに、体重が減らない、増えている……。これも体の老化現象のひとつです。加齢によって太りやすくなる原因に、筋肉量や基礎代謝量(生命維持に最低限必要なエネルギー量)の減少があります。しかしそれよりも肥満を避けたいのは「肥満そのものが老化を促進させ、病気の原因を作る」ということです。多くの女性はボディラインを整えたくて太っていることを気にするようですが、ドクターとしての私はむしろ、肥満の弊害に気をつけてもらいたいのです。
知っておきたい「レプチン」の存在
もともと人間の体は飢餓に対応するように発達してきました。その際に活躍していたのがレプチンで、脂肪組織から分泌されるホルモンです。レプチンは食べてから20〜30分すると分泌されはじめ、一定の量を食べると「必要量食べました」と脳に指令を出し、満腹中枢を刺激して食欲を低下させます。同時に、脂肪組織に作用してエネルギー代謝の増大を促します。人間の長い歴史の中では、この作用が体の飢餓状態を支え、脂肪の量を一定に保つ働きを担ってきました。しかしここ数十年の飽食の時代になってからは、レプチンの働きが機能せず、異常をきたすことが増加してきました。人間の身体そのものが飽食時代に対応していないのです。
一見邪魔者に感じてしまうレプチンですが、少ない食事量でもエネルギーを最大限に有効活用させる頼もしい存在です。しかし本来の機能がうまくいかなくなった今、レプチンの存在に支えられていたあらゆる機能がマヒしはじめるようになりました。
アンチエイジングを考えていくうえで気になることが、レプチン異常でも見受けられます。たかが「満腹シグナル」と侮れないのは、こんな理由があるからです。
仕組みを知れば、リバウントは防げる
人間の生命維持に関わってきたレプチンの仕組みはとても複雑ですが、どういった要因でレプチンの働きが鈍ってしまうかは知っておくといいでしょう。
脂肪バランスと密接に繋がっているレプチンは、脂肪が増えると増加します。そのため肥満状態はレプチン飽和状態となりトラブルが起こりやすくなります。また、40歳以降は加齢とともに血中レプチン濃度が上昇していく傾向にあることが様々な研究でわかってきています。そのほか、レプチン濃度が高いと甘味感覚が低下し、甘さを感じずにどんどん食がすすみ、満腹シグナルが鈍化し肥満を助長させる悪循環に陥いることになります。実はリバウンドの原因はここに起因しているのです。
では、どうすればレプチンと上手く付き合っていくことができるのでしょうか? その答えは簡単です。レプチンの働きが正しくできるようにすればいいのです。レプチンはもともと飢餓に対応するためのホルモンなので、素早く反応するという特性があります。例えば食べ過ぎると血中レプチン濃度はすぐに上昇し、翌日にはレプチン感受性が鈍ります。この素早さに対応するには、食習慣を整えることで対応できます。
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早食いをしない
食後20〜30分に分泌される満腹シグナルを待とう |
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食べ過ぎた翌日は粗食に
鈍ったレプチンの働きを取り戻そう |
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適度な運動で脂肪を増やさない
脂肪とともに増えるレプチンを増やさないようにしよう |
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ダイエットにつきもののリバウンドは、レプチンの働きを無視したことによるもの。絶食などで体脂肪が2〜3%減ると、レプチン分泌量は20〜30%低下し、エネルギー代謝も低下します。これは現実的な状況に関係なく、体にとっては飢餓状態です。そうなると甘みや美味しさに敏感になって食欲が一気に増加します。これがリバウントの正体。実際に減った体脂肪量以上に、身体が過敏に対応してしまうのはレプチンが身体を守ろうとする素早い働きからくるものです。
ダイエットを成功させるには、レプチン本来の働きを活かしつつ、急激に減らさないことが重要です。そのためには正しい食習慣と適度な運動がポイント。このポイントは、生活習慣病の予防と同じ。ダイエットの観点のみならず「食」と「運動」がアンチエイジングにいかに大切かが伺えますね。
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