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三羽さんの胸元には、メノポーズを考える会のシンボルのブローチが。ピンクリボン。同じくピンクリボンをシンボルにしている、乳ガン検査啓発のピンクリボン運動とも協力体制にある。 |
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う〜ん、冒頭から辛い現実をつきつけられてしまった気分。でもそれは違うと三羽さんは言い切る。「先にもお話した通り、更年期と更年期症状は別物。イコールではありません。更年期の不調は誰でも経験するものですが、生活に支障が出る症状を感じる人は全体の3割。更年期医療もどんどん進化しています。まったく怖がる必要はないんです。大切なのは更年期って何なのかを知ること。女性更年期はとかくネガティブに言われますが、実はその逆。女性にとっては体をリセットしたり、その後の人生を充実させるための準備期間のようなものです。これは本当よ」。
更年期は誰もが迎える精神面・身体的な変わり目の時期だという。加齢によって卵巣機能が低下して女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が減少し、やがてゼロとなる。卵巣機能低下は40歳あたりから始まり、その後閉経(閉経とは生理が1年以上なかった状態を言います)。日本人の平均閉経年齢は50歳前後と言われている。
ちょうどこの時期は、人間としての成熟期にあたり、人によっては子育てが一段落していたり、それまでの知識や経験が充実していたりと、20代30代と比べると、あらゆる経験値が豊かになっている時期だ。それまで仕事や家族などにパワーを注いでいたが、このころから自分のための時間が持てる人が多くなってくる。そのような時期にタイミングよく、自分の体と向き合う時期がやってくるのだ。
「更年期をどう過ごすかによって、それ以降の自分が変わってきます。エストロゲンが低下するので何かしらの体調不良はみんなにやってきますが、その時期に自分のヘルスケアをすることで、生涯にわたる健康作りができます。また更年期に医療の選択やライフスタイルの見直しといった経験をしておくと、老年期にとても役立つんです。更年期は医療、食、ライフスタイル、自分についていろいろ考えることができるいいチャンスだし、実際にそうなんです。女性としてこれからという時期」と三羽さん。んんっ?なんだかポジティブなメッセージがどんどん出てきて、最初の不安はどこへやら、少々拍子抜けしたモンナージュスタッフ。
更年期の過ごし方には、その人の気質がオーバーラップしやすいそうだ。自分の体の変化に前向きだったり、症状があるときフットワークよく対処する人がいる一方で、「更年期って嫌なものだ、認めたくない」という女性もいるらしい。
「でもね、更年期と向き合わないでそのまま老年期に入ると、取り返しのつかないことになる場合もあります。体のケアをしてこなかった、体力もない、気力もないとなると、後から治療しても治りにくい傾向が強いのです」と三羽さんは指摘する。無理に気持ちを張って更年期を過ごす必要もないという。無理はいつでも良くない。だけど、前向きに過ごしたほうがメリットは大きいのは明白。更年期は10年近くあるのだから、その時間の中で自分にあったものを選択しながら、自分も成長していけばいい。その意味でのチャンスなのだ。
80歳になるおばあちゃんが骨粗鬆症で悩んでいるという。そのおばあちゃんが『更年期を知っていれば、こんなに骨ももろくならなかったのに…』と言ったそうだ。骨粗鬆症といえば更年期の代表的な症状。更年期の時期にきちんと対処しておけば良かったという後悔の言葉なのだ(残念ながらその世代の人は自分にかまっていられない時代を通ってきている)。更年期をケアしながら過ごした人は老後に寝たきりになることが少ないというデータも出ているそうだ。このおばあちゃんの言葉は重い。だけど私たちには参考になる言葉だ。 |