以前にもお話しましたが、精神的ストレスは活性酸素を大量に発生さ、体をサビさせます。見方を変えると、ストレス対策はサビ対策にもなります。
ストレス対策で最も基本的なのは、休養やリラックス。その中で一番重要なのは「睡眠」です。なぜなら睡眠中に成長ホルモンがさかんに分泌されるからです。
成長ホルモンは脳下垂体から分泌され、それが肝臓に達するとIGF-Iという別のホルモン分泌が起こります。生長ホルモンとIGF-Iの働きによって、筋肉を作ったり、傷を治したり、肌にハリと潤いを与えたり、骨を丈夫にしたり、はたまた心肺や消化管、生殖器の機能や能力をアップさせるといった重要な働きをしています。「成長」と名が付いているので、子どものだけが必要に感じるかもしれませんが、人は成長ホルモンとIGF-Iに一生お世話になるのです。
その成長ホルモンが盛んに分泌されるのが、夜眠っている間。眠りが深い頃に最も分泌されます。つまり、きちんと眠らなければ、成長ホルモンは十分に分泌されないのです。
成長ホルモンは30歳くらいから分泌の低下が始まり、10年で約13パーセントも減ってしまいます。そのため加齢や廊下にともなう体の変化のいくつかは、成長ホルモンの分泌低下が関わっているのではと考えられています。加齢とともに自然と成長ホルモンの分泌が低下していくこと、睡眠時に最も分泌していることを考えると、よく眠ることが健康にもアンチエイジングにも大切だということが、理解してもらえるかと思います。
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だんだんと「眠りが浅くなっている」「寝付きが悪い」「目が覚めやすい」といったことを感じることはありませんか?こうした眠りのトラブルにもホルモンの減少が関わっています。天然の睡眠薬と呼ばれているメラトニンです。
メラトニンは、睡眠と覚醒のサイクルを制御するホルモンで、脳の松果体から睡眠時に分泌され人の体のリズムを作るという重要や役目を担っています。脳だけではなく、体のいたるところに存在しています。
このメラトニンも20代をピークに加齢とともに分泌量が減ります。すると眠りの質が低下してきて、だんだん眠りが浅くなってくるのです。
このメラトニン、実は強力な抗酸化作用を持っています。体のサビに対抗する物質はいくつかありますが、メラトニンは格段の能力を持っていて、細胞ひとつひとつに浸透してDNA守るだけでなく、免疫を高める作用もあります。その顕著な例が盲人の方々の体です。目の不自由な人は網膜で光りをキャッチできず、いわば一日中夜の状態。そのため常にメラトニンが分泌される状態になり、血中メラトニン濃度も健常者よりも明らかに高くなっています。このことから盲目の方々にガンが少ないのは、おそらくメラトニンの量が多いことが要因だと考えられています。大量のメラトニンが細胞がサビる(=酸化)のを防いでいるのです。
夜ぐっすりと眠れば、ストレスからのダメージから回復でき、メラトニンによるサビ止め効果も期待できます。
では、夜ぐっすりと眠れるようにするためにはどうすればいいでしょうか?
とても基本的なとですが、やはり規則正しい生活を送ることにつきます。起きたらまず、明るい光を浴びるようにします。光の刺激は目の網膜から脳の松果体に伝わって、メラトニンの分泌を止めてくれます。メラトニンの分泌をきちんと止めれば、12時間後の夜に再び分泌されることになります。
加えて、栄養バランスの取れた食事をしたり、適度に運動することも心がけましょう。
よく「何時間眠るのがいいのですか?」と聞かれますが、レム睡眠・ノンレム睡眠が1.5時間で入れ替わるサイクルを最低でも4サイクル、つまり<1.5×4=6時間>、できれば5サイクル<1.5×5=7.5時間>眠るのがいいのではと堪えています。 |