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測定 今回トレーニング指導を担当してくださるのは、トレーナー・金子聡さん。日本体育協会公認のアスレティックトレーナーで、様々な大学でサッカー部やバスケットボール部など運動部のトレーナーやフィジカルコーチを歴任されているそう。 ●測定
体組成計に乗ったり、色々な体位の写真を撮ったりして、姿勢やくせ、筋力、柔軟性など、身体の状態を測定。結果をデータ処理します。 靴下をぬいで体組成計に乗り、体重と左右の体重バランスを計ります。手と足から微電流を流すことで、体の水分量や筋肉量も測定できるとか。 体のバランスを見るため足をそろえて立ち、左右前後の立ち姿を写真に撮ります。 これも体のバランスを見るためのポーズ。両脚、片脚立ちでかがんだりと、バランスを要求されるポーズも。 ●カウンセリングシートを記入
記入する項目は、生活習慣や仕事の形態、現在・過去の病気や怪我、改善したい箇所など。これを元にカウンセリングが行われます。 「腰痛はありますか?」という金子トレーナーに、「前はあったのですが、最寄りの駅の一駅前で降りて毎日ウォーキングすることで、腰痛が軽減しました」と寺山編集長。1日1万歩を目指しつつ、毎日平均6千歩位ウォーキングしている寺山編集長に「歩くという有酸素運動によって筋肉の固さが取れたことが、腰痛改善の原因」と金子トレーナーが説明。 ●写真で体のバランスをチェック
パソコンに先ほど撮影した写真を表示して、体のバランスを確認します。その結果、寺山編集長には以下の特徴があることが判明。 <左>右脚だけで立ってかがみ込んだ写真。中心線が少しズレています。「右脚のおしりや腿の前の筋肉などを強化することが必要」と金子トレーナー。 普段右手を使い、バッグを左肩にかけているためか、「左肩が上がり、右肩が下がってます。バッグはバランス良く持った方がいいですよ」。また「姿勢は綺麗だが、あごが少し出て、胸が反っている。胸で呼吸をする胸郭呼吸をするといいでしょう」と指摘。
運動 〜トレーナーによるパーソナルトレーニング〜 問題の原因を改善するために、金子トレーナーにトレーニング・プログラムを作成・指導してもらいます。その前に、まず必要なのが「評価」。 ●評価
ここでいう評価とは、トレーナーが姿勢や動きのくせ、身体の固さなど、個人の体の状態を細かくみること。評価により、今後のサポートの方針が決まります。 具体的には、仰向けになって片膝ずつ抱え込んだり、仰向けのまま膝を曲げて足裏を合わせ、股関節の柔らかさをみたり、両手をあげて背中で左右の手先を結んだり……様々な姿勢を取り、体の状態をチェックします。 <左>仰向けになって、膝を伸ばしたまま片方ずつ脚を上げ、腿の裏の固さをチェック。左右の脚の固さ・柔らかさを見て、筋肉を強化するかほぐすかを決めます。 ●運動(パーソナルトレーニング) ストレッチポール(細長いクッション)の上に仰向けになって、姿勢の歪みや反りを直します。 チューブを使っての肩甲骨エクササイズ。チューブの左右の輪を両手でつかみ、左右の肩甲骨をくっつけるように、ひじをゆっくり後ろに引く。 おしりの筋肉のエクササイズ。横向きに寝て、上の腰を少し前に倒した状態で、脚をゆっくり上げ&ゆっくり下げるのを繰り返し。「スピードを上げると意識しにくくなるため、ゆっくり力を入れる。家でも寝ながらできますよ」 ストレッチの基本は「使ったら伸ばす」。筋肉は鍛えると縮もうとして固くなり、痛みに変わるので、伸ばすのだそう。先程おしりの筋肉を使ったので、三角座りの状態で左脚を右脚の腿の上に乗せ、ゆっくり伸ばす。逆も同様に。 ご存じスクワット。腿の前とおしりまわりを強化します。腰に手を当てて足を肩幅より少し広めに開き、少し爪先を外に向けて、ゆっくり膝を曲げておしりを沈ませます。「スクワットは上下両方大事。下りる方が意外と辛いんですよ」 最後は、今使った腿の前の筋肉ストレッチ。片膝ついた状態で前傾し、後ろの足を持ってかかとをおしりに着け、腿の前を伸ばします。 ここに載せたのは、パーソナルトレーニングの一例。姿勢や動きのくせは個人差があるので、メニューも違ってきます。
寺山編集長は、すっかりストレッチポールを気に入った様子。「このポールを使うことで、歪んでいるところや反りすぎているところを戻し、重力で曲がりを押さえて真っ直ぐにします。毎日、朝夕10分くらいポールの上で寝ているだけで、姿勢がかなり良くなりますよ(金子トレーナー)」 カウンセリングシートをもとに、佐藤先生に評価を伝える金子トレーナー。 治療 トレーニングが終了したところで、ドクタープラスが提携している巣鴨総合治療院・整骨院の柔道整復師・佐藤正孝先生が登場。日頃プロゴルファーや力士といった方々を診ているそうで、トップアスリートの治療経験が豊富なんだそうです。 最初は、カウンセリングシートをチェックしつつ、自覚症状の確認。寺山編集長は、気になる自覚症状を佐藤先生に伝えます。 では、寝台に仰向けになって治療スタート。全身の状態を見るため、全身をマッサージすることから始めます。本人の希望に添いつつ、トレーナーから引き継いだ問題の箇所も診ながら、最後に全身のバランスを整えるという流れ。 佐藤先生は治療を続けながらも、寺山編集長に気になる部分を聞いていきます。 「夕方に下半身がむくむのですが…」 痛いのと気持ちいいのとで、うめき声をあげる寺山編集長。佐藤先生は迷いのない的確な手技で、固まった筋肉をほぐし、治療していきます。 カウンセリングシートをもとに、まずは現在の自覚症状などをカウンセリング。 首の後ろの「僧帽筋」が固い寺山編集長。「肩甲骨の筋肉で、頭の重さや肩などを支えています。固いまま放置しておくと、50〜60代で手に痺れが出ることも」と佐藤先生。 胸椎まわりをほぐします。「肋骨の動きがルーズになると、呼吸しにくくなります」 下半身ストレッチ。片方ずつ脚をぐーっと上げて、ふくらはぎを伸ばします。 ヨガっぽいポーズでおしりのストレッチ。反対も同様に。 「足指の間は熱さを感じやすい。足湯で足指を開いて暖めたり、足指の間にはさむスポンジを使ったりすると、冷え性対策にもなります」 首の後ろや肩、頭もほぐします。「痛くて、思わず笑ってしまう!」 右側を下にして横になり、上の膝を曲げ、抱え込むようにしてゴキッ! すごい音がしました(笑)。 左側も同様にゴキッ。「仙腸関節の調整をしているんですよ」 つっぱっている大腿筋膜張筋や中殿筋もほぐします。 治療が終了。立って足踏みをしてみると……「胸が開いている感じで、すごく呼吸がラク!胸のつかえが取れた感じ」 「肩甲骨がスムーズに動いていますね」と金子トレーナー。首まわりもすっきりして、首が長くなったように見えます。 肩こりは100%良くなる!? 最後に、佐藤先生と金子トレーナーにお話をお伺いしました。 佐藤先生「1回肩こりがよくなると、再発しにくくなります。治療もさることながら、一番重要なのはトレーニング。日常生活の中でも、動かしていくことが大切です」 筋肉って、動くのが好きなんですか? という寺山編集長に、「筋肉は動かしたり、支えたりするためにある」と金子トレーナー。「使わないと機能しなくなり、その結果固まってしまう。固まった場合は治療でほぐし、良くなった状態で使えるように運動していくことが大切です」 指導してもらう側に利点の多い「運動+治療」体制ですが、トレーナーや治療家側としては、どうなのでしょう? 「治療で矯正してもらうと、整った状態でトレーニングに来ていただけるので、トレーニングもやりやすくなりました。治療家とトレーナーが、お互いの得意分野でケアし、情報を共有できるのがいいですね(金子トレーナー)」 金子トレーナー「スポーツ選手だとそういう環境にありますが、一般の方はなかなかこのようなプランが得られず、ジムで運動して、治療院でケアしてと、バラバラになってしまう。それが一箇所でできるスポーツクラブというのは、目標でした(金子トレーナー)」 「トレーナーと治療家が情報を共有できる。それが一番のメリットですね。お客様1人1人にとっても、それがベストだと思います。このような体制は、我々トレーナーや治療家にとっても、非常にやりやすい。我々もやりがいがあり、楽しくやらせていただいています(佐藤先生)」 「自分の体の特徴がよく分かった」という寺山編集長。収穫は大きかったようです。 「自分の体の特徴を認識しているということは、今後自分でエクササイズしていく上でも大事なこと。やはり、普段の生活の中で治すことが一番。継続した人は改善します(金子トレーナー)」 *** 「運動+治療」の2者体制は、私たちにとっては「一貫したケアの中で、根本原因の治療と、原因を作らないための体づくりができる」というのが最大の魅力。また、トレーナーや治療家にとっても情報を共有でき、トレーニングやケアで効果が出しやすくなるという、双方向にとってメリットを生み出すプログラムでした。
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