「運動は嫌い」「学生時代は運動部にいたけど、最近はめったに運動しない」という方は、体のサビのことを考えると黄色信号。サビない体をつくるために運動は不可欠であり、何歳になってもやるべきものです。
体を動かすのが嫌い・面倒だという方も、頭では運動のメリットはお分かりのはずです。中年になって、体重やボディラインが気になるなど、危機感を抱いている方もいらっしゃるでしょう。また、肥満が健康を害することは、想像に難くないと思います。実際、肥満は下記の症状を引き起こすリスクが高いのです。
- 肥満により引き起こされ得る症状
- 糖尿病
- 高脂血症
- 高血圧
- 血管のサビや老化(→動脈硬化)
最近よく耳にする「メタボリック症候群」ですが、最初に起こるのは「内臓脂肪の増加」です。少量の内臓脂肪は、動脈硬化を防ぐ善玉ホルモン「アディポネクチン」をたくさん分泌し、血管の機能を正常に保つので、むしろメリットが多いのです。しかし、内臓脂肪の増加により、血管に脂肪がたまって肥大化すると、善玉ホルモンが減少して悪玉ホルモンが増加し、動脈硬化につながります。
また、アディポネクチンにはインスリンの働きを助けるという、もう一つの大切な役割があります。アディポネクチンが減少するとインスリンが効きにくくなって糖代謝が悪くなり、糖尿病を発症させたり悪化させたりします。
そこで効果的なのが運動。運動をすると、体内に疲労物質である乳酸が分泌されます。この乳酸が血液を通って脳下垂体に届くと、成長ホルモンが分泌されます。それにより筋肉や骨を強化できると同時に、脂肪を分解させることができるのです。
運動は肥満防止に不可欠なのに、その重要性は十分に理解されているとは言いがたいようです。「20分歩いて消費されるのは、せいぜい40〜50キロカロリー。80キロカロリーの缶ジュースを飲めば帳消しになってしまう。やはり大事なのは食事療法」と、運動の効果を否定する医師も残念ながらいる様子。でも運動には、様々な効果があるのです。
「中年太り」と言って、中年になると太りやすい体質になりますが、これは基礎代謝量と最大酸素摂取量が加齢によって変化することが関係しています。
- 基礎代謝量……身体を動かさなくても、呼吸や睡眠によって消費されるエネルギー
- 最大酸素摂取量……体内にどれだけ酸素を取り込んで利用できるかを、体重1キロ当たりの量で示した数値
・基礎代謝量……身体を動かさなくても、呼吸や睡眠によって消費されるエネルギー
・最大酸素摂取量……体内にどれだけ酸素を取り込んで利用できるかを、体重1キロ当たりの量で示した数値
この2つの数値とも、加齢と共に減少します。たとえば、20歳では基礎代謝量は1日あたり1400〜1500キロカロリーくらいですが、40代では1000キロカロリーを下回る人もいます。これらの数値の低下が、食事の量や中身が同じでも、加齢により太りやすくなってしまう原因と言えるでしょう。逆に、基礎代謝量と最大酸素摂取量を若い頃と同量に保つことができれば、中年太りは防げます。それを可能にするのが運動というわけです。下記に運動のメリットを挙げましょう。
- 運動によるメリット
- カロリーを消費できる
- エネルギーが燃えやすい状態を1日から1日半キープできる
- 運動を習慣化すれば、筋肉が増えて代謝率がアップし、運動してない時でもエネルギーが燃えやすい状態を保てる
- 運動により筋肉量が多くなるほど、若さを保つ上で重要な成長ホルモンの分泌量が増える
- 基礎代謝量を2〜3割上げることができる
- 最大酸素摂取量の低下を抑えられる
- 高血圧や糖尿病の原因になるインスリン抵抗性を改善できる
- フリーラジカルに対する抵抗力を向上させることができる
- 運動による発汗作用で、サビのもとになる塩分や重金属などを体外に流し出すことができる
大事なのはやせることではなく「太りにくい体をつくる」ことなのです。筋肉を2キロ増やせば、仮に全然運動しなくても(もちろん運動した方がいいのですが)、1日あたり120〜200キロカロリー多くエネルギーを消費できます。
もちろん食事に気を付けることも、とても重要。ですが、食事療法は運動と一緒にやることで初めて、糖尿病やメタボリック症候群などの生活習慣病を上手にコントロールすることができるようになるのです。
「サビない体」を得るためには、適度な運動をして自らの抗酸化能力を高めることも大事なのです。